研究実績の概要 |
ヒトiPS細胞はあらゆる細胞に分化可能であり、再生医療や創薬スクリーニングへの応用が期待されている。しかしながら、ヒトiPS細胞由来心筋細胞は胎児型の特徴を有しており、その結果として再生医療においては催不整脈作用に直結し、創薬研究においては表現型のばらつきに繋がる。一方、細胞の成熟化を促進する方法に関しては、培養環境や組織構築、物理刺激など様々報告されているが、いずれも成人のヒト心筋組織とは程遠い。そこで本研究では、ブタをin vivoリアクターとして利用することによりヒトiPS細胞由来心筋組織における成熟化を促進させ、ヒト成熟化心筋組織を作製し、再生医療や創薬研究を加速させることを目的としている。 2021年度は、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を純化精製する手法(Tohyama, Cell Metab 2016)や分化細胞に残存中に未分化幹細胞を除去する手法(Tanosaki, Tohyama*, iScience 2020)、ヒトiPS細胞を効率よく増殖させる手法(Someya, Tohyama*, iScience 2021)に関するプロトコールを作成し、論文発表した(Kameda, Someya, Tohyama*, STAR Protocols 2022a, Tanosaki, Akiyama, Tohyama*, STAR Protocols 2022b)。また、佐賀大において作製したヒトiPS細胞由来心室筋チューブ組織を免疫不全マウスやラットへ移植し、1か月後に移植した心筋チューブ組織が生存していることを確認し、成果を論文発表した(Kawai, Tohyama*, Front Cardiovasc Med 2021)。さらに、ヒトiPS細胞由来心筋組織の成熟化に関する総説を発表した(Tani, Tohyama*, Front Cell Dev Biol 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を純化精製する手法(Tohyama, Cell Metab 2016)や分化細胞に残存中に未分化幹細胞を除去する手法(Tanosaki, Tohyama*, iScience 2020)、ヒトiPS細胞を効率よく増殖させる手法(Someya, Tohyama*, iScience 2021)に関するプロトコールを作成し、論文発表した(Kameda, Someya, Tohyama*, STAR Protocols 2022a, Tanosaki, Akiyama, Tohyama*, STAR Protocols 2022b)。また、佐賀大において作製したヒトiPS細胞由来心室筋チューブ組織を免疫不全マウスやラットへ移植し、1か月後に移植した心筋チューブ組織が生存していることを確認し、成果を論文発表した(Kawai, Tohyama*, Front Cardiovasc Med 2021)。さらに、ヒトiPS細胞由来心筋組織の成熟化に関する総説を発表した(Tani, Tohyama*, Front Cell Dev Biol 2022)。 以上よりおおむね順調に進展していると考えられる。
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