p53変異による肺癌細胞株のEMT活性化を確認し、変異タイプによる差異の解析を行った。contact mutation typeではfull EMT活性化がみられ、structural mutation typeでは、partial EMT活性化がみられた。さらに、full EMTおよびpartial EMT活性化した細胞株を用いてRNA-seqを行い、EMT関連諸遺伝子発現の変化だけではなく、ROCK遺伝子や細胞骨格遺伝子に大きな変化が認められた。 A549肺癌細胞株のTGFβ誘導性EMTの阻害化合物のdrug screeningを行い、約2500種類の既存薬剤、化合物から7種類の薬剤を選択でき、数種類で実際の細胞株でEMT抑制を示し、表現型である浸潤能も抑制可能であったことを論文化した。 EGFR変異肺癌マウスとp53変異マウスの交配による遺伝子改変マウスを作成し、同時にERT2-Creを導入することで、タモキシフェン投与により、EGFR変異肺癌発生後、任意の時期にp53変異を起こさせる事が可能なコンディショナルマウスを作成することに成功した。EGFR変異のみのマウス肺癌とp53変異も合併するマウス肺癌を比較検討し、p53変異により充実成分の多い低分化な腫瘍が産生されたことを見出した。今後、これらの腫瘍のシグナル経路解析や薬剤有効性、腫瘍微小環境などの比較検討を行う予定である。 L-PDX法を用いて、ヒト肺癌のマウスへの移植を9例中7例で成功させ、今後のPDXでの薬剤有効性検討を行う系の開発を行い、論文化した。
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