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2020 年度 実績報告書

なぜ神経障害性疼痛は傷害された末梢神経の支配領域を超えて広がるのか?

研究課題

研究課題/領域番号 20H03775
研究機関新潟大学

研究代表者

馬場 洋  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)

研究分担者 倉部 美起  新潟大学, 医歯学系, 助教 (30635579)
渡部 達範  新潟大学, 医歯学総合病院, 特任講師 (30748330)
大西 毅  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (60804573)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード神経障害性疼痛 / 脊髄スライス / イメージング / パッチクランプ / トロンボスポンディン / グリア
研究実績の概要

2020年度は新しいイメージング機器であるMICAM03-N256を購入し、脊髄スライスからの神経興奮のイメージング法を確立する予定であったが、機器の納入時期が大幅に遅れたため、この機器を用いて従来からの後根付き脊髄横断スライスからのイメージングが可能であることの確認にとどまった。従来機器であるMICAM02に比べて新規に購入したMICAM03-N256は格段に解像度が高く、研究計画を遂行するに当たり十分な性能であることを確認した。本来の目的である脊髄縦断スライスからのイメージングも数回行ってみたが、未だ十分な技術レベルに達していない。ただし、縦断スライスでも反応がとれることは確認した。
また、2020年度はより質の高い脊髄スライス作成及びスライス染色法の改善を行った。週齢10週以上の動物の脊髄はミエリンが多く、Ca感受性色素による染色は非常に困難であるが、2020年度は多くの染色法を試行錯誤し、最適な染色温度(20-22℃)、染色時間(約2時間)、濃度(0.33mg/4ml)、染色時の外気圧(40-50cmH2O)を確立した。この条件で染色すると、約2時間灌流しなくても染色液中のPO2>700mmHg,PCO2=40-45mmHgと非常に良好な条件を保つことができることを確認することができた。またこの条件で染色すると、従来に比べて非常に安定したバラツキのなく、より大きく鮮明な反応が得られることもわかった。
以上、2020年度は機器の納入が遅れたため、実際の実験の遂行と言うよりはよりよい実験条件の確立に時間を費やした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

購入予定であった新規機器(MiCAM03)の納入が大幅に遅れたことが最大の原因である。4月に発注したにもかかわらず、実際に納入されて稼働できたのは10月であり、その間は実験条件の改良程度のことしか行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要や進捗状況の項目で記載したように、2020年度は本来の研究実施計画より大幅に遅れた。2021年度は脊髄スライスを横断スライスから縦断スライスに変更し、後根から入力した痛み刺激による脊髄後角細胞の興奮の頭尾方向への広がりを見る方法を確立する予定である。一方、行動実験も並行して進める予定であり、まず脊髄を損傷しないように脊髄腔内に極細カテーテルを挿入する方法を確立する予定である。カテーテル挿入後、運動麻痺・感覚麻痺などの障害が起こらないようならば、予定通りカテーテルを通してトロンボスポンディンを髄腔内投与する。その後、経時的に後肢の痛覚閾値の変化を後肢足底に対する機械的刺激に対する逃避閾値を調べる予定である。これまでの先行研究から、投与後数日以内に疼痛閾値が低下することが予想され、その時期を正確に調べる予定である。実験の進行状況によっては、最も疼痛閾値が低下した時期に動物の脊髄を摘出し、縦切りスライを作成してスライスイメージングを行う可能性もある。また、さらに可能ならば、in vivoイメージングにも着手したいと考えている。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Epidural Administration of Ropivacaine Reduces the Amplitude of Transcranial Electrical Motor?Evoked Potentials: A Double-Blinded, Randomized, Controlled Trial2021

    • 著者名/発表者名
      Furutani Kenta、Tobita Toshiyuki、Ishii Hideaki、Deguchi Hiroyuki、Mitsuma Yusuke、Kamiya Yoshinori、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      Anesthesia & Analgesia

      巻: 132 ページ: 1092~1100

    • DOI

      10.1213/ane.0000000000005236

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Low-dose droperidol suppresses transcranial electrical motor-evoked potential amplitude: a retrospective study2021

    • 著者名/発表者名
      Deguchi Hiroyuki、Furutani Kenta、Mitsuma Yusuke、Kamiya Yoshinori、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Monitoring and Computing

      巻: 35 ページ: 175~181

    • DOI

      10.1007/s10877-020-00464-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Congenital Tracheal Aplasia Without Prenatal Diagnosis Masked by Maternal Obesity and Gestational Diabetes: A Case Report2020

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Tomohiro、Kurabe Miyuki、Matsumoto Kensuke、Sugai Shunya、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      A&A Practice

      巻: 14 ページ: e01200~e01200

    • DOI

      10.1213/xaa.0000000000001200

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quadratus lumborum block type 2 for pedicle groin flap analgesia: a case report2020

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Tatsunori、Moriya Koji、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      JA Clinical Reports

      巻: 6 ページ: 36-36

    • DOI

      10.1186/s40981-020-00342-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Downfolding of the epiglottis into the laryngeal inlet after tracheal intubation using the McGRATHTM MAC videolaryngoscope: a case report2020

    • 著者名/発表者名
      Soma Haruno、Furutani Kenta、Hibino Ayaka、Hibino Akinobu、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      JA Clinical Reports

      巻: 6 ページ: 42-42

    • DOI

      10.1186/s40981-020-00349-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Efficacy of a novel urinary catheter for men with a local anesthetic injection port for catheter-related bladder discomfort: a randomized controlled study2020

    • 著者名/発表者名
      Imai Hidekazu、Seino Yutaka、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      Journal of Anesthesia

      巻: 34 ページ: 688~693

    • DOI

      10.1007/s00540-020-02807-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SUZYTM forceps facilitate nasogastric tube insertion under McGRATHTM MAC videolaryngoscopic guidance2020

    • 著者名/発表者名
      Furutani Kenta、Watanabe Tatsunori、Matsuda Keiichiro、Kamiya Yoshinori、Baba Hiroshi
    • 雑誌名

      Medicine

      巻: 99 ページ: e22545~e22545

    • DOI

      10.1097/MD.0000000000022545

    • 査読あり
  • [学会発表] 臨床医の基礎研究 -古典的Ca2+イメージング法と古典的パッチクランプ法による痛みの研究-2021

    • 著者名/発表者名
      馬場 洋
    • 学会等名
      生理学研究所 痛み研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 脊髄X層におけるノルアドレナリンの鎮痛機序2020

    • 著者名/発表者名
      大橋宣子、大橋正幸、馬場 洋
    • 学会等名
      第67回日本麻酔科学会
  • [学会発表] イバブラジンは脊髄後角ニューロンに作用し鎮痛効果を発揮する2020

    • 著者名/発表者名
      大橋宣子、大橋正幸、馬場 洋
    • 学会等名
      第67回日本麻酔科学会
  • [学会発表] 高齢者の帯状疱疹後神経痛に対する薬物療法の検討2020

    • 著者名/発表者名
      日比野亮信、内藤夏子、田中萌生、清水大喜、馬場 洋
    • 学会等名
      第54回日本ペインクリニック学会
  • [備考] 新潟大学 大学院 医歯学総合研究科 麻酔科学分野・研究分野紹介・疼痛機序研究班

    • URL

      https://www.med.niigata-u.ac.jp/ane/profile/profile.html

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公開日: 2021-12-27  

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