研究課題
外科手術後の全身性炎症反応症候群(SIRS) からARDSに至った場合の発症後死亡率は高く難治性であるが故に、その発症予防が重要である。我々が先行研究で示したCPBによる骨髄由来白血球の肺循環へは術後発症メカニズム解明における重要な端緒と考える。本研究では、サルCPB/肺障害モデルを用いて術前からCCL23による骨髄刺激抑制に加え、術中のトロンボモジュリン: rTM の好中球活性化抑制作用、抗炎症作用を併用、さらに術後にPMX-DHP による血中サイトカイン、および骨髄由来活性化白血球そのものの吸着を施行し、手術侵襲が惹起する循環血中、および骨髄由来白血球の肺への集積制御を目的とする。BrdUが静注によって分裂過程にある細胞のDNAに取り込まれることを利用して骨髄白血球前駆細胞を標識し、手術侵襲によって新規に誘導される骨髄由来細胞の循環血液中への放出と、肺への集積を経時的に追跡する。一昨年度からのCCL23(recombinant human CCL23)群(CCL23を術前に静注し、骨髄の細胞分裂過程を制御して骨髄刺激に対する白血球前駆細胞の保護作用により、骨髄由来活性化白血球を制御する群)の実施結果を解析し、論文発表した(Heart, Lung and Circulation 32 (2023) pp. 424-433)。本年度は、PMX-DHP群遂行のため、これまで開発したCPBモデルを基盤とし、その周術期にPMX-DPHを使用する吸着モデルを開発、発展させた。現在も、術後PMX-DHP施行よる、骨髄由来白血球の肺集積抑制効果を検証し、術後肺障害に対する発症メカニズムの解明、ひいては予防への応用によって外科手術成績の躍進的な向上を目指し継続中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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