研究課題
前年度に引き続き、敗血症患者の臨床情報収集と検体収集を行った。本年度は血液検体の解析を中心に行い、臨床情報との関連を調査し以下の結果を得た。1)敗血症患者の血清を用いて、腸管透過性のマーカーとして知られるゾヌリンをELISA法で測定し、臨床転帰や合併症との関連を調べた。ゾヌリンの低値は難治性の敗血症ショックや予後の悪化に関連した。一方でICU在室中の下痢や便秘などの消化器症状との関連は認めなかった。2)敗血症患者の血漿を用いて、ELISA法で、ミトコンドリアタンパク質であるトランスロケータープロテイン(TSPO)の測定を行った。敗血症患者では健常者に比べて、血漿中のTSPOが有意に低下しており、血漿TSPOが敗血症診断に有用である可能性を示した。また、この機序の解明の過程で、ミトコンドリア機能障害の指標とされるgrowth differentiation factor 15 (GDF-15)に着目し、ELISA法で敗血症患者の血漿GDF-15を測定した。敗血症合併症の一つである敗血症心筋症を合併した患者の血漿中ではGDF-15が有意に上昇しており、敗血症性心筋症のバイオマーカーになりうることを示した。3)敗血用患者の血清を用いたリピドミクス解析を行い、患者の臨床情報(重症度、合併症、転帰)との関連を調べた。その結果、敗血症患者ではlysophosphatidylcholine (LPC) 16:0、18:0などが健常者に比べて有意に低下しており、敗血症の重症度と相関があることを示した。またLPC 20:4やLPC 22:6が敗血症の合併症である播種性血管内凝固症候群と関連があることを示唆する結果を得た。この結果から得た知見をもとに、今後、マウスを用いた実証実験を行う予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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