研究課題/領域番号 |
20H03790
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
手塚 徹 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定講師 (50312319)
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研究分担者 |
S Youssefian 京都大学, 医学研究科, 教授 (00210576)
Kim Minsoo 京都大学, 医学研究科, 准教授 (50466835)
水島 恒裕 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (90362269)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | RNF213 / シグナル伝達 / 血管閉塞性疾患 |
研究実績の概要 |
RNF213遺伝子は2011年に、もやもや病の感受性遺伝子として同定されたが、近年、脳梗塞や肺高血圧症への関与も判明し、多様な血管閉塞性疾患に関わっていることが示されている。しかし、RNF213遺伝子変異が血管閉塞性疾患の要因となる詳細なメカニズムは不明である。そこで、本研究では、網羅的な解析手法も駆使して、RNF213変異による異常な細胞内シグナルを同定することにより、当該疾患メカニズムを明らかにすることを目指している。RNF213はATPase活性とユビキチンリガーゼ活性を持つ巨大タンパク質(5207アミノ酸残基)である。我々は、野生型の培養細胞株と独自に作出したRNF213欠損細胞株などとの比較により、RNF213が、これまでRNF213との関連性が報告されていなかった細胞内シグナル伝達系を正に制御することを見出した。RNF213による当該シグナル系の制御機構や意義を明らかにするために、我々がUbc13依存性のユビキチンリガーゼ活性を持つことを見出したRINGドメイン内の変異など、もやもや病患者に同定されているRNF213変異がどう影響するか、検討を進めた。他方、我々は、網羅的な遺伝子発現比較解析により、RNF213が細胞死、小胞体ストレス、NFkB経路など、既に報告のあるシグナル系以外にも、種々のシグナル系を制御することを見出した。以上の解析により、RNF213が制御する細胞内シグナル系の理解が進み、今後、RNF213遺伝子変異によるシグナル破綻・血管閉塞の分子メカニズムの解明や、ひいては、その成果に基づく血管閉塞の制御技術の作出へと展開できることに本研究の意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNF213が制御する細胞内シグナル系を新たに同定することに成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
同定したRNF213が制御する新たな細胞内シグナル系について、当該シグナル系のシグナル伝達分子・制御分子の動態を検討し、また、RNF213のATPase活性やユビキチンリガーゼ活性の役割・もやもや病変異の影響などを調べることにより、RNF213によるシグナル制御機構を明らかにしていく。
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