研究課題/領域番号 |
20H03793
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20538136)
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研究分担者 |
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
岡 真一 札幌医科大学, その他部局等, 講師 (70789453)
佐々木 優子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80631142)
押切 勉 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (70754612)
寺島 嘉紀 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20438005)
廣田 亮介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10815434)
栗原 康太 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20855803)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨髄幹細胞 |
研究実績の概要 |
我々は、これまでに実験的脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells: MSC)の経静脈的投与によって、運動機能の回復をもたらすことを報告してきた。特に、脊髄損傷動物モデルに対するMSCの経静脈的投与による機能回復のメカニズムとして、“損傷局所”における神経保護作用、血液脊髄関門の安定化、損傷軸索のsproutingや、損傷軸索の再生、再有髄化、シナプス新生等が多段階的に作用することにより、運動機能の回復に貢献することを明らかにしてきた。本研究では、これらのメカニズムに加えて、損傷周囲および脳における神経回路のダイナミックな再構築によって、“中枢神経系全域の再生・plasticityの賦活化”が惹起される、という治療メカニズムも強く寄与している可能性があるのではないか、という仮説を検証することを目的として、神経解剖学的手法を駆使して、詳細な検討を行うこととしている。これまでに、ラットに全身麻酔下に、脊髄圧挫モデルを作製し、同モデルに対して経静脈的にMSCを投与した数週間後に、再度、全身麻酔下に、頭部を定位的脳固定装置により固定したのち、モデルラットの脳に順行性軸索トレーサーをマイクロインジェクション機器とガラス電極針を用いて定位的に局所注入した。この神経解剖学的軸索トレーサー法によって、下行神経回路のトレースが可能である。これらの採取した脳および脊髄組織をクライオスタットを用いて、凍結連続切片を作製し、組織学的解析を行っている。特に、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss)などにより画像を取得し、高精細3D/4D画像解析ソフトを用いた神経ファイバーのトレーシング、ヒートマップ解析等を行う予定である。これら一連の実験により、MSC治療によってダイナミックに再構築された神経回路の解析を行うことが可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、実験の実施に必要な資材の入手が困難であったため、やや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、脊髄損傷モデル動物を使用した実験を継続して行い、観察期間終了後に神経解剖学的解析などのMSC治療後の損傷周囲および脳における神経回路の再構築の解析を推進する方策である。
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