研究課題
我々は脊髄損傷動物モデルに対する骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells: MSC)の経静脈的投与による機能回復のメカニズムとして、“損傷局所”における神経保護作用、血液脊髄関門の安定化、損傷軸索のsproutingや、損傷軸索の再生、再有髄化、シナプス新生等が多段階的に作用することにより、運動機能の回復に貢献することを明らかにしてきた。これらのメカニズムに加えて、損傷周囲および脳における神経回路のダイナミックな再構築によって、“中枢神経系全域の再生・plasticityの賦活化”が惹起される、という治療メカニズムも強く寄与している可能性があるのではないか、という仮説を検証することを目的としている。本研究では、実験的脊髄損傷に対するMSC治療後に惹起される損傷周囲および脳における神経回路の再構築を、順行性神経軸索トレーサーによる神経解剖学的トレーシング法、Ex vivo MRI Diffusion Tensor Tractography (DTT)などを駆使して、解明することを目的とした。特に、神経解剖学的解析においては、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss)、光シート顕微鏡(ミルテニーバイオテク)により画像を取得し、高精細3D/4D画像解析ソフトを用いた神経ファイバーのトレーシング、ヒートマップ解析等を行った。これら一連の実験により、実験的脊髄損傷に対するMSC治療によってダイナミックに再構築された神経回路の解析を行うことが可能になると考えている。以上のように、補助金は適切に使用された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Neurotrauma
巻: 39 ページ: 1665~1677
10.1089/neu.2022.0106