研究課題/領域番号 |
20H03798
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂呂 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (20302698)
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研究分担者 |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60240355)
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20323579)
松原 全宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40361498)
田中 健之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00583121)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者の自立喪失の原因となり、生命予後も悪化させる「骨粗鬆症による脆弱性骨折」を予防するため、骨粗鬆症を早期診断して治療に導く人工知能(AI)診断システムを確立するための基礎研究を完成させることである。今年度は、以下の3つのサブテーマの検討を行った。 1. 学習用データセットの作成: ROADプロジェクトおよび東京大学医学部附属病院の症例を用いたデータベースの構築を開始した。また、腰椎X線画像のDICOMデータを収集しこれらの画像の撮影日の±1年にDXA法で計測された骨密度実測値および前述の症例データベースとの関連づけを行い、データセットとした。 2. 骨密度推定用ニューラルネットワークの構築: DCNNを使用し、骨密度推定用ニューラルネットワークを構築した。次に、このネットワークに腰椎X線画像と腰椎DXAのデータベースを用い、検討を開始した、骨密度実測値を教師データとする腰椎X線画像のデータセットを5組に分割し、4組をAIに学習させた後、残り1組のX線画像のみをAIに入力して骨密度を推定させた。この工程を5回繰して全症例の推定値を出力させ、実測値と比較検討した。次にYAM比を算出し、YAM比80%未満の要精検群を陽性として判定精度を評価した。 以上の結果は、骨粗鬆症を早期診断して治療に導く人工知能(AI)診断システムを創出するための基礎検討を推進するための確信を得るに十分な結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 学習用データセットの作成: 1-1 骨粗鬆症データベースの構築;前年度に引き続き、データベースの構築を行う。対象となる症例について診療録を参照し、骨粗鬆症に影響を与えると考えられる因子について情報を収集する。なお、本細目は、症例数が多いため、次年度以降も継続する予定である。 1-2 データセットの作成;1-1の対象症例について、腰椎および胸部X線画像のDICOMデータを収集する。作成したDICOMデータと、これらの画像の撮影日の±1年にDXA法で計測された骨密度実測値および1-1の骨粗鬆症に影響を与えると考えられる因子との関連づけを行い、データセットとする。なお、本細目は、症例数が多いため、次年度以降も継続する予定である。 2. 骨密度推定用ニューラルネットワークの構築:2-1 学習と推定・評価;1-2で作成したデータセットから任意の対照群を抽出する。骨密度実測値を教師データとするX線画像のデータセットを5組に分割し、うち4組を学習用データセットとしてニューラルネットワークに入力し、ネットワーク中に学習済みパラメーターを構築する。次に、残り1組を推定用データセットとし、X線画像のDICOMデータのみを学習済みのニューラルネットワークに入力し、骨密度および骨密度推定値を出力させるこの工程を5回繰して全対象症例の推定値を出力させる。YAM比が80%未満の要精検群を陽性、80%以上の要指導・異常なし群を陰性として判定精度を評価する。 3.推定精度向上の工夫:3-1 画像データの前処理及び特徴量抽出;推定精度向上のため、画像データの前処理として、1-2で作成した学習用データセットのX線画像に対して、データの輝度およびコントラストの補正を実施する。t-SNEによる教師なし学習を行うことで、抽出すべき特徴量の分類を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
1. 学習用データセットの作成: 1-1 骨粗鬆症データベースの構築;前年度に引き続き、データベースの構築を行う。対象となる症例について診療録を参照し、骨粗鬆症に影響を与えると考えられる因子について情報を収集する。なお、本細目は、症例数が多いため、次年度以降も継続する予定である。 1-2 データセットの作成;1-1の対象症例について、腰椎および胸部X線画像のDICOMデータを収集する。作成したDICOMデータと、これらの画像の撮影日の±1年にDXA法で計測された骨密度実測値および1-1の骨粗鬆症に影響を与えると考えられる因子との関連づけを行い、データセットとする。なお、本細目は、症例数が多いため、次年度以降も継続する予定である。 2. 骨密度推定用ニューラルネットワークの構築:2-1 学習と推定・評価;1-2で作成したデータセットから任意の対照群を抽出する。骨密度実測値を教師データとするX線画像のデータセットを5組に分割し、うち4組を学習用データセットとしてニューラルネットワークに入力し、ネットワーク中に学習済みパラメーターを構築する。次に、残り1組を推定用データセットとし、X線画像のDICOMデータのみを学習済みのニューラルネットワークに入力し、骨密度および骨密度推定値を出力させるこの工程を5回繰して全対象症例の推定値を出力させる。YAM比が80%未満の要精検群を陽性、80%以上の要指導・異常なし群を陰性として判定精度を評価する。 3.推定精度向上の工夫:3-1 画像データの前処理及び特徴量抽出;推定精度向上のため、画像データの前処理として、1-2で作成した学習用データセットのX線画像に対して、データの輝度およびコントラストの補正を実施する。t-SNEによる教師なし学習を行うことで、抽出すべき特徴量の分類を実施する。
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