研究課題
基盤研究(B)
本研究では、高齢者の自立喪失の原因となり、生命予後も悪化させる「骨粗鬆症による脆弱性骨折」を予防するため、1)学習用データセットの作成、2)骨密度推定用ニューラルネットワークの構築、3)推定精度向上の工夫、の3つのサブテーマを設定し、X線画像データのみから高い推定精度・判別精度で骨密度の推定値を演算する人工知能(AI)システムの基礎研究を完成させた。本研究の結果は、骨粗鬆症を早期診断して治療に導くAIシステムの創出の確信を得るに十分な結果であった。
整形外科学
本AIシステムでは、1枚の正面X線像のデータを入力すると回帰解析を行い、スクリーニング・診断のゴールドスタンダードである大腿骨近位部および腰椎の骨密度が出力される。骨粗鬆症自体は基本的に無症状であるため受診同期となりにくいが、通常診療や健康診断の受診の「ついで」に、検査時間を要さず、追加のX線被曝のリスクなく、骨粗鬆症のスクリーニング・診断ができることは大きなメリットである。本AIシステムにより、骨粗鬆症患者およびその予備群を早期に治療に導くことが可能となり、脆弱性骨折の予防と健康寿命の延伸、関連する医療費の削減が期待できる。