研究課題
本研究では、これまであまり知られていなかった軟骨細胞内Ca2+制御機構と制御に関わると思われる分子を詳しく解明することにより、軟骨が関連する疾患治療 に役立つ新たな知見の取得を目指している。本年度は複数取り組んでいる研究課題の内、TRIC-Bの軟骨細胞における生理機能についての研究が大きく進展した。具体的には、研究開始時から取り組んできたTric-b欠損マウスの軟骨組織における異常な細胞死について、組織学的解析を詳細に行うのみならず、免疫組織学的解析から細胞内にコラーゲンが蓄積していることを見出した。また、細胞死に至る分子機序を解析した結果、小胞体ストレス経路のうちでも特にPERKの経路が特異的に野生型に比べて活性化しているということを発見した。小胞体ストレスから細胞死を引き起こす細胞内シグナル経路を更に詳細に解析することにより、細胞内Ca2+制御機構の異常によって活性化しアポトーシスを引き起こすカスパーゼ12の発現および活性化がいずれも引き起こされていることを見出した。また、直接細胞死を誘導するカスパーゼ3についても活性化していることを明らかとした。細胞内Ca2+制御についてライブイメージングと薬理学的解析を組み合わせて詳細に調べた結果、Tric-b欠損軟骨細胞において、定常状態のCa2+濃度が上昇しており、小胞体Ca2+ストア放出が障害されていることを明らかとした。また、定常状態のCa2+濃度上昇にTRPM7やPLCのみならずPERKの活性化が寄与していることを示す知見を得た。これらの研究成果を現在国際誌に投稿中である。Caluminについては、ゼブラフィッシュおよび組織特異的欠損マウスを用いた解析から遺伝子欠損によって骨への異常は観察されないことがわかり、解析対象を肝臓など他の臓器へと移行させることとした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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