研究課題
肉腫および癌腫に発現する抗原に特異的なCTLクローンをソースとして癌幹細胞抗原BORIS,肉腫抗原PBF,long non-coding RNA由来抗原を特異的に認識するT細胞受容体α鎖およびβ鎖のcDNAをクローニングして,レトロウイルスベクターにサブクローニングした.これらをパッケージング細胞PLAT-AおよびPG13に遺伝子導入して,ウイルス特異的TCRをコードするレトロウイルス粒子を作成した.さらにウイルス産生タイターの高いパッケージング細胞をクローニングした.これらのウイルス特異的TCRをコードするレトロウイルス粒子ヒト末梢血T細胞に感染導入することで,特異的TCRを発現したT細胞(TCR-T細胞)を作成した.TCRの感染導入によりHLA-A2/BORIS抗原特異的テトラマー陽性細胞,HLA-A24/PBF抗原特異的テトラマー陽性細胞,HLA-A24/long non-coding RNA由来抗原特異的テトラマー陽性細胞が全T細胞中の20-40%程度にみられた.またこれらのテトラマー陽性TCR-T細胞は特異的な抗原由来ペプチドをパルスした抗原提示細胞を認識してIFNγ産生を示した.肉腫に対するTCR-T細胞開発に有用な知見が得られたと考えている.10e11規模のランダムペプチドライブラリを用いて,ビオチン化HLA-A24/ペプチドモノマーのペプチド置換を試みた.10e7程度のレパトアからなるビオチン化HLA-A24/ライブラリペプチドモノマーが得られた.今後の肉腫幹細胞抗原特異的T細胞受容体の対応抗原ペプチドのスクリーニングに有用な知見が得られたと考えている.
2: おおむね順調に進展している
TCRのクローニングと導入,ペプチドライブラリの構築が順調にすすんだ.
TCR-T細胞のin vitroおよびin vivoでの機能解析を進める.
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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