研究課題
肉腫に発現する癌幹細胞抗原DNAJB8由来ペプチドをHLA-A24拘束性に認識するT細胞受容体に類似した特異性を持つscFvクローンをファージディスプレイライブラリを用いて分離した.分離したscFv clone(B10)は抗原に対して特異性および高い親和性を示した.B10 scFvを用いて,二価のヒトIgG1型抗体(B10-hIgG1)を作成した.B10-hIgG1により癌細胞表面に提示されたHLA-A24/ DNAJB8由来ペプチド(DNAJB8-143)複合体を検出することができた.またB10-hIgG1はHLA-A24陽性DNAJB8陽性の癌細胞株に対してCDCおよびADCC活性を示した.坑CD3 scFvとつないだbispecific 抗体B10-(CD3xJB8)を作成した.B10-(CD3xJB8)はDNAJB8-143をパルスした抗原提示細胞に対して健常者PBMCを介してサイトカイン産生を示した.B10 scFvをCD28およびCD3zと繋いだB10 CARを構築した.B10 CARを健常者由来PBMCにレトロウイルス感染による遺伝子導入を行った. B10 CARはCD4およびCD8陽性T細胞の70%以上に導入が可能であった.B10 CAR-T細胞はDNAJB8-143をパルスした抗原提示細胞に対してIFNg産生およびCD107a産生を示した.またB10 CAR-T細胞はHLA-A24陽性DNAJB8陽性骨肉腫細胞株に対してIFNg産生およびCD107a産生を示した.また骨肉腫細胞株に対する経時的細胞傷害活性が検出された.免疫不全マウスに骨肉腫細胞株を皮下移植した担癌マウスモデルに,B10 CAR-T細胞を移入した.B10 CAR-T細胞は本モデルにおいて抗腫瘍効果を示した.骨肉腫に対するDNAJB8を標的とした抗体およびCAR-T細胞療法開発が期待される.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Br J Cancer.
巻: 128 ページ: 886-895
10.1038/s41416-022-02100-1