研究課題/領域番号 |
20H03809
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 東海大学, 医学部, 准教授 (10408007)
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研究分担者 |
升井 伸治 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (20342850)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 椎間板 / 髄核細胞 / 再生医学 / 培養法 / 凍結保存 |
研究実績の概要 |
再生医療におけるスフェロイド形成は未分化性維持、分化制御を促す培養法として注目されているが、椎間板再生における細胞製品の製造においても髄核細胞の分化誘導工程に重要である。我々は機能的に優れたTie2陽性髄核前駆細胞を発見後、これを用いた再生医療等製品の開発に向け、細胞の未分化性を維持した状態での大量培養法の確立と高い細胞生存率を担保する保存方法の検討を課題とした。これまでTie2陽性髄核細胞を含む細胞集団にメチルセルロース培地を用いたコロニーアッセイ法を用い、最も高機能な髄核細胞を導出できるとしてきたが、大量製造面での限界があり、産業化には不向きであった。そこで簡便にかつ大量にスフェロイド形成培養を可能とする専用培養皿EZSPHEREを用いての拡大培養法の確立を試みた。検体は椎間板ヘルニア手術時に同意の下、東海大学医学部付属病院関連の施設において椎間板ヘルニアの手術時に同意を得た10症例から摘出された椎間板組織を採取し、凍結保存された初代ヒト髄核細胞(n=10)を用いて行なった。スフェロイド培養用培養皿EZSPHEREは口径200-1400μm、深さ100-600μmの6種類を用い、スフェロイド形成能力、数、細胞増殖率を調べ、Aggrecan、Type 1 Collagen、Type 2 Collagen、Angiopoietin 1のmRNA発現を解析した。今後、産業化に耐えうる拡大培養に応用が可能か否か、細胞のviability、核型異形の出現率、腫瘍化など安全性の評価、精査を開始する予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画に沿った研究実施が完遂できたため。初年度は再生医療に必要な技術確保を目指した。
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今後の研究の推進方策 |
髄核細胞の保存に関しては当教室から組織凍結、細胞凍結間での細胞生存率、分化能、ECM産生能に有意な差はなく、凍結保存前後での機能性の損失はない事を示した。これにより活性化された髄核細胞を必要な時に患者の状態に応じて投与する事が可能と考えられ、髄核細胞を用いた再生医療等製品の商品化と大量生産が可能ではないかと考えられた。そして凍結保存されたディスクジェニック細胞のin vivoでの有効性が報告され現在臨床試験が開始されている。 しかし実際の臨床応用での手技と実験室ベースでの報告では差が大きく、特に凍結前後に要する時間を考慮されていることは滅多にない。また使用される凍結保存液に含まれる動物血清やジメチルスルホキシド(DMSO)による細胞毒性や臨床応用時の安全性、規制上の問題となる事もある[13]。更に大量培養後の製品管理や輸送手段では細胞の単離から保存までが更に複雑化し、時間を要する。そのため今後の製品化を考慮し、実臨床に沿った形で、高い細胞生存率を維持した状態で機能低下も起こさない最適な保存方法を検証する。
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