研究課題/領域番号 |
20H03814
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤松 秀輔 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20767248)
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研究分担者 |
澤田 篤郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (10784796)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (90260611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 血中遊離DNA / 相同組み換え修復関連遺伝子 / DNA修復遺伝子 / BRCA / ATM / CDK12 |
研究実績の概要 |
①CRPC患者血中遊離DNA(cfDNA)の縦断的遺伝子異常の解析:申請者らが独自に開発したcfDNAにおける変異アレル頻度1%未満の変異を高感度・高特異度に検出する分子バーコード法を用いた解析法eVIDENCEを用いて、すでに収集したcfDNA100症例の解析を行った。その結果、腫瘍由来cfDNA(ctDNA)割合2%未満の症例においてもATM、BRCA2、TP53の病的変異が同定され、これらの遺伝子異常はPFSまたはOSの独立した予測因子であり、DNA修復遺伝子を含めたcfDNAの低頻度変異検出が重要であることを示した。 ② 臨床における遺伝子異常を再現した細胞株の樹立:BRCA2、ATM、CDK12をそれぞれノックアウト(KO)したLNCaP細胞株をCRISPR/Cas9の手法で作成した (BRCA2単独の両アレルKOは致死的なため存在しない)。CDK12KO細胞株に関してはin vitroおよびin vivoにおいて増殖能の低下を示し、BRCA paradoxを呈した。フローサイトメトリーにより解析からはG2/Mでのcell cycle arrestの可能性が示唆された。さらに細胞周期やDNA修復関連遺伝子のタンパク発現の解析を行った。 ③臨床検体より樹立したゼノグラフトモデルの作成:我々はCDK12異常のある前立腺癌患者検体から、患者由来ゼノグラフト(PDX)を2系統樹立した。PDXを用いることでBRCA paradoxを克服することができる。今後症例があれば、BRCAやATM変異の症例でもPDX樹立を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
100症例のCRPC患者cfDNAの解析を行い、DNA修復遺伝子を含めたcfDNAの低頻度変異検出が重要であることを示した。HDR関連遺伝子異常細胞株(ATM KO, CDK12 KO)を樹立し、CDK12KO細胞株については機能解析も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、治療抵抗性となる毎に経時的にcfDNAを収集している。経時的なDNA解析によって判明した遺伝子異常蓄積の情報を解析し、細胞特性変化のキーとなる候補遺伝子を同定する。さらには、樹立した細胞株にそれらの遺伝子異常を加えた表現型の変化を確認する。 CDK12KO細胞株の機能解析から治療候補となる分子を同定した。CDK12細胞株はBRCA paradoxを呈し臨床像を反映していないので、CDK12異常PDXを用いて薬剤投与実験を行い、治療標的となるか検討予定である。ATM KO細胞株についても機能解析を行う。さらにはATM異常やBRCA異常の患者検体を採取できれば、PDX樹立を目指す。
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