研究課題/領域番号 |
20H03817
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
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研究分担者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
植田 幸嗣 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, プロジェクトリーダー (10509110)
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (20338180)
西原 広史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50322805)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リキッドバイオプシー / シングルセル解析 / 去勢抵抗性前立腺癌 / 血液循環腫瘍細胞 |
研究実績の概要 |
本邦でも、欧米諸国のように前立腺癌の罹患率が高齢化や検診の普及により増加傾向である。早期の前立腺癌に対しては、手術・放射線による根治が可能となってきたが、初発時に有転移症例や、手術・放射線療法後の再発に対してはアンドロゲン除去療法(androgen deprivation therapy: ADT)が選択される。しかし数年以内にADTに耐性化を獲得し、去勢抵抗性前立腺癌(Castration Resistant Prostate Cancer: CRPC)に進展する。新規アンドロゲン受容体シグナル阻害剤や、新規抗がん剤カバジタキセルが近年本邦で承認されたが、生命予後の改善効果は限定的であり、mCRPCは予後不良である。 前立腺癌の好発転移部位である骨転移は造骨性で、アプローチが困難なため再発や転移時の生検検体の採取が困難であることが多い。そこで本研究では血液中の血液循環がん細胞(CTC)と血液循環DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)によるリキッドバイオプシー検体を経時的に回収し、CTCのシングルセル解析とctDNAのNGS解析、診断時・再発時の転移巣の生検検体を対象として、ITHを内包する複数病変に由来したゲノム情報の全体像の解析を進めてきた。 本年度は、CTCシングルトランククリプトーム解析を進め、カバジタキセル加療後の患者において共通するクラスター群を同定した。患者の手術検体におけるRNAの発現解析を進め、どのがん細胞などで発現しているのかについて検討を進めている。ctDNAにおいても、治療が進み、耐性獲得時に新たな変異と増幅が入る一連の症例と遺伝子群を同定した。 3次元培養が安定しSphere形成が可能となった症例につき、患者の手術検体のパラフィン包埋検体と、ctDNAのNGS解析における発現解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前立腺癌の好発転移部位である骨転移は造骨性であり、アプローチが困難なため再発や転移時の生検検体の採取が困難であることが多い。そこで、本研究では血液中の血液循環がん細胞(CTC)や血液循環DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)によるリキッドバイオプシー検体を経時的に回収し、CTCのシングルセル解析とctDNAのNGS解析、診断時・再発時の転移巣の生検検体からの抽出したDNA/RNAをNGSを対象として、ITHを内包する複数病変に由来したゲノム情報の全体像の解析を進めているが、本年度は、CTCシングル解析を進め、同時に過去の患者の転移巣生検や再発時の手術検体のパラフィン包埋検体からDNAを抽出しNGS解析も進めた。NGS解析では、本年度はコロナの影響を引き続きうけたこともあり、入院や外来通院などの規制により、経時的な検体採取が困難な症例もあったこと、臨床検体の輸送に制限があったことで、研究の進捗が予定通り進まないこともあったが、少しづつ改善してきており、最終年度である本年はさらに研究を進捗させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの影響もあり、入院や外来通院などの規制により、経時的な検体採取が困難な症例もあったこと、臨床検体の輸送に制限があったことで、研究の進捗が予定通り進まないこともあったが、最終年度は、引き続き、検体を採取するとともに、解析を進め、マルチオミックスデータを統合することで新規バイオマーカー候補や新規治療標的の探索を進行する予定である。 コロナの影響もあり、手術日程が必ずしも予定通り進まないこともあり、PDxモデルのための、3次元培養への移行が必ずしも円滑に進まないこともあったが、一部Sphere形成が可能となり、安定培養が可能になった症例もあり、引き続き、3次元培養で安定的に培養可能とするバイオバンクのプロトコールを確立する予定である。
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