研究課題/領域番号 |
20H03821
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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研究分担者 |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (00192500)
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 研究准教授 (40547535)
安達 聡介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50613147)
石黒 竜也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80625690)
田村 亮 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70650620)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 正常子宮内膜 / 子宮内膜症 / 内膜症関連卵巣癌 / ゲノム / 癌関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
我々は、これまで内膜症関連卵巣癌の原因と考えられていたPIK3CA・KRAS などの癌関連遺伝子が、すでに子宮内膜症や正常子宮内膜で高頻度に体細胞変異を起こしていること、癌関連遺伝子変異は子宮内膜上皮・内膜症上皮に認めるが、子宮内膜間質・内膜症間質に認めないこと、を世界に先駆けて報告している。本研究では、先行研究を発展させ、正常子宮内膜から子宮内膜症・内膜症関連癌発症に至るまでの連続的なゲノム異常に着目し、正常子宮内膜から子宮内膜症および内膜症関連卵巣癌の発症に至る進展メカニズムを解明することを目的とし、最終的に、子宮内膜症および内膜症関連卵巣癌の発症予防を目指す。 初年度は、まず正常子宮内膜の3次元構造評価とゲノム異常の可視化に関する研究を実施した。摘出子宮から内膜組織の一部を研究用に保存し、サンプルを匿名化後、組織透明化試薬を用いて、申請者らが開発したヒト子宮内膜用のプロトコールに基づき、透明化を行った。シート照明顕微鏡にて透明化された子宮内膜の画像を取り込み、画像解析ソフトを用いて、子宮内膜3次元構造を評価したところ、子宮内膜の腺管は分岐するだけでなく、基底層で網目のような構造(地下茎)を形成し、しばしば複数の腺管が同一の網目構造を共有していることがわかった。この地下茎構造は観察した正常子宮内膜20サンプル全てで観察された。ヒト子宮内膜腺管は百年来一本ずつが独立して存在していると組織学の教科書では記載されていたが、この発見によって組織学の教科書が書き換えられる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に、子宮内膜研究の根幹である内膜の3次元構造を明らかにすることができており、研究計画は順調に進んでいる。また正常子宮内膜、子宮内膜症、内膜症関連卵巣癌サンプルのゲノムデータ取得も並行して進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、子宮内膜オルガノイドを用いた内膜症・内膜症関連卵巣癌の原因遺伝子の同定を計画している。正常子宮内膜あるいは子宮内膜症の研究を進めるにあたり、リソースが重要になると考え、今後子宮内膜オルガノイド樹立を進めていく。並行して、正常子宮内膜の腺管単位でのゲノムデータ取得、あるいは子宮内膜・子宮内膜症・内膜症関連卵巣癌のトリオでのゲノム解析を進めることで、正常子宮内膜から子宮内膜症および内膜症関連卵巣癌の発症に至る進展メカニズム解明につなげていく予定である。
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