研究課題
子宮内膜上皮細胞のオルガノイドを作製した後に間質細胞を周囲に伴う子宮内膜オルガノイドを樹立したが、この構造では上皮細胞層がオルガノイドの内側に向くように配列しており、胚の共培養を行っても、実際の着床現象の再現はできない。しかしながら、令和4 年度の研究において、これらの問題を克服する改良型マウス子宮内膜オルガノイド(ミニ子宮内膜と定義する)の独自の開発に成功した。このオルガノイドでは、①内部に間質細胞が充填されその外側を上皮細胞が覆っており、②上皮細胞のムチン蛋白質(MUC1)が上皮細胞の外側面に位置しているので胚を受容できる構造となっており(細胞の極性が再現できている)、③培養にマトリゲルを必要としない。さらに、この改良型オルガノイドとマウス胚盤胞の共培養により着床現象の過程を再現することに成功した。実際には、マウスミニ子宮内膜とGFPマウスから採取した胚盤胞の共培養を行い、経時的に組織切片を作製することで、着床現象の4つのステージを観察することに成功した:①attachment:胚盤胞の上皮細胞への接着、②invagination:上皮細胞が胚盤胞を囲むように陥凹(implantation chamber)を形成、③entosis:栄養外胚葉による上皮細胞層の貪食、④invasion:間質細胞層への浸潤。GFP 遺伝子を導入した上皮細胞と間質細胞を用いて前述の方法でマウスミニ子宮内膜を作製し、卵巣除去した重度免疫不全マウスの子宮内に移植した。移植細胞の増殖のため恒常的にエストロゲンを分泌するビーズを皮下に投与した。移植後 8 週間で子宮を回収し、GFP の発現によりミニ子宮内膜由来の子宮内膜構造がマウス子宮内に構築されていることが確認できたため、子宮内に上皮・間質細胞から構成されるオルガノイドを生着させることに成功した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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