研究課題/領域番号 |
20H03826
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
丸山 哲夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10209702)
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研究分担者 |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00323501)
高尾 知佳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (40612429)
升田 博隆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (80317198)
内田 浩 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90286534)
宮崎 薫 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (90445370) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子宮 / 幹細胞 / ゲノム編集 / 再生医学 / 光制御 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,これまでわれわれが行ってきた部分的な子宮の再生・再建の技術と基盤知見をもとに,ラットを用いて子宮機能の中心的な役割を担う子宮内膜の全層再建・再生技術の開発を行った.その結果,脱細胞化子宮内膜骨格 (Decellularized Endometrial Scaffolds, DES)を用いることで,より効率的に子宮内膜の全層再生が促されることが判明した.さらに光遺伝操作と再細胞化(再生)に適した細胞の候補として,様々な子宮内膜由来細胞(正常・不死化・癌細胞)とその幹細胞について検討を行ったところ,ある内膜癌幹細胞株が安定期に幹細胞特性を有することが明らかになり,その幹細胞特性や再生医療への応用について検討した.また子宮全体の再生および子宮疾患の代表である子宮筋腫の病因メカニズムの解明の観点から,ヒト子宮平滑筋細胞に光応答性ゲノム編集ではなく通常のゲノム編集による遺伝操作を加えて増生能力の増強や造腫瘍能の獲得の有無などを検討したところ,一部に変化は見られたが予想していた特性は付与されず,その原因として用いた細胞が平滑筋幹細胞では無かったことが考えられた.また,光応答生ゲノム編集技術の改善・改良と新しい研究ツールや治療法としての妥当性を検証するべく, 着床に関連する挙動を示すものの機能不明の新しい分子を光応答性ゲノム編集の標的分子として基礎的解析も行った.異所性に子宮内膜様病変を作成して子宮内モデルを構築する際に,内膜症候補細胞を搭載したDESや磁性体などを用いて細胞を集積するなどの技術が必要となるが,その技術開発も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内膜全層欠損モデルとその全層性修復のための DES を用いた基盤技術・知見は一定の範囲内で得られたものの,搭載する候補細胞の絞り込み,搭載方法,および遺伝操作技術などがまだ確立されていないないこと,上述の成果を昨年度中には論文化出来なかったことなどから,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
【1】脱細胞化骨格を用いた雌性生殖器官の再生・再建の開発 令和3年度に確立した子宮内膜全層欠損モデルの作成とその内膜全層の脱細胞化・再細胞化技術および基盤知見に基づいて,【2】と関連して遺伝操作と再細胞化(再生)に適した細胞の候補として,初代培養内膜細胞,内膜不死化細胞,内膜癌細胞などを幹細胞特性の観点からさらに検討する.現時点でそれぞれ一定の成果が得られているが,それらを更に発展させるとともに,上述の内膜全層欠損モデルに脱細胞化子宮内膜骨格 (Decellularized Endometrial Scaffold, DES) 単独,あるいは上記の候補細胞を搭載したDESを移植することで,構造的欠損が修復されるか否か,また機能的にもレスキューされるか(妊孕性が回復されるか) について解析・検討を行い,DESを用いた子宮内膜の構造と機能の再生・再建に関する基盤知見および基盤技術を得る. 【2】光応答性細胞を用いた雌性生殖器官の機能再生治療の開発と子宮内膜症疾患メカニズムの解明 本研究の成果である光応答性ゲノム編集による生殖機能制御の技術と得られた基盤知見について(Takao, Sato, Maruyama, PNAS, 2020),その妥当性や再現性をさらに検証すべく,機能未知の分子・メカニズムに着目して同様の操作で子宮機能が制御可能について検討する.さらに,本技術と【1】の技術を複合させることで,再建・再生された雌性生殖器官が,細胞レベルのみならず組織/器官レベルで光照射により構造と機能が制御できるかを調べる.また,細胞搭載 DSの異所性移植や磁力を用いて異所性あるいは任意の場所に子宮内膜関連細胞を集積させるなどの操作を通じて,子宮内膜症や子宮内膜癌などの内膜関連疾患をこれらの技術で作成し,幹細胞からの観点から疾患モデルとその治療への応用を検討する.
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