研究課題/領域番号 |
20H03829
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福田 篤 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (00638091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
ヒト多能性幹細胞は体を構成するほぼ全ての細胞に分化することが可能である一方、in vitro産物である。カウンターパートであるヒト初期胚細胞と比較し、ヒト多能性幹細胞ではDNAメチル化が著しく亢進していることがこれまでの報告で明らかとなっている。本研究では、ヒト多能性幹細胞特異的なDe novo DNAメチル化を除去することで、どの程度ヒト初期胚細胞に類似出来るかを転写の観点から明らかにする。 本年度は、ヒト多能性幹細胞株におけるDe novo DNAメチル化欠損株の作製を複数株において行った。既報に基づき設計されたgRNAとCRISPR/Cas9システムを用いて、DNMT3AおよびDNMT3B遺伝子の欠損株を作製した。DNMT3B欠損株の作製は、gRNAの特異性が低く、目的の遺伝子欠損株を得るまでに時間を要した。また、一部のゲノム編集株においては、Genotypingとタンパク質解析の結果の不一致等が確認されたが、細胞のsub-cloningにより解決していることから、次年度以降の転写解析に移行が出来ると考えられる。 次年度以降では、RNA-sequencing解析を実施することでヒト多能性幹細胞株におけるDNAメチル化除去がどの程度、ヒト初期胚に類似するかを検証する予定である。 一方、ヒト初期胚におけるデータ解析では、公共データの利用を計画している。DNAメチル化変異株との比較解析に向け、公共データの正規化等実施のためのプラットフォームを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の課題点であった、公共データベースからのデータ正規化プラットフォームが確立出来たことは、本研究の進捗において有用である。また、国際共同研究体制から、De novo DNAメチル化に関する論文は投稿中であり、次年度以降の論文化に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降にDe novo DNAメチル化酵素変異株におけるトランスクリプトーム解析を実施する。RNA-sequencing解析を主として、ヒト初期胚細胞における遺伝子発現状態を比較解析することで、どのような遺伝子群が類似し、また差次的発現するかを明らかにする。本研究を通じて、De novo DNAメチル化に依存したヒト多能性幹細胞の初期胚化の程度を把握することが出来るとともに、分化試験などを視野に入れた研究展開を考慮する。
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