研究課題/領域番号 |
20H03831
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川瀬 哲明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (50169728)
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研究分担者 |
菅野 彰剛 東北大学, 医学系研究科, 講師 (20578968)
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60332524)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 聴覚的注意 / 脳磁図 / 眼球計測 / attentional deafness |
研究実績の概要 |
多くの音源が存在する日常生活での音情報の知覚・認知に必要不可欠となる、聴覚的注意・無視メカニズムの病理に関する研究計画である。聴覚的注意に関する研究は、主に正常人を対象に行われてきたが、本研究では、選択的注意・無視メカニズムの不全の関与が疑われる聴覚情報処理障害患者、耳鳴患者を対象に、注意・無視メカニズム不全の可視化と機序解明を行い、同不全が関与する臨床病理の診断法確立、さらには治療アプローチへの提言考察を行うとともに、ヒトの選択的注意機構の意義解明という本質的なテーマにも迫る。 本年度も、昨年度までの研究の継続である、1)脳磁図N100mを指標とした、選択的注意に対する注意妨害刺激の影響を評価するシステムを用いて、さらに、視覚情報の影響並びに、視聴覚複合刺激による加算効果などについて検討するとともに、2)健聴被検者、並びにListening difficulties (LiD)の患者を対象とした、心理音響学的評価システム(一側耳(片耳)で行う周波数弁別などのタスクに対する対側耳への妨害音刺激による影響をタスクの正答率を指標に評価)を用いた検討の継続、並びに、3)瞳孔径、並びに、瞬目回数を指標とした音刺激注意時の注意状態に関する他覚的評価の検討を実施した。 その結果、a) 視聴覚複合刺激には、注意ひきつけ効果の加算効果が認められること、b) 対側耳に提示した注意妨害音による聞き取り妨害効果は、妨害音の有する"saliency"によって異なること、並びに、c) 対側耳に提示した注意妨害音による聞き取り妨害効果は、健聴被験者に比べて、Listening difficulties (LiD)の患者で有意に大きくなること、などが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳磁図課題、心理音響課題は順調に継続的に実施されており、positiveな結果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度までに実施してきた1)脳磁図N100mを指標とした視聴覚統合処理評価システム(選択的注意に対する注意妨害刺激(視聴覚刺激)の影響評価)を用いた検討、ならびに2)健聴者、聴覚情報処理患者を対象とした心理音響学的検討(一側耳(片耳)で行う周波数弁別などのタスクに対する対側耳への妨害音刺激による影響をタスクの正答率、反応時間を指標に評価)の継続と総括(結果公表、論文投稿)を行うとともに、3)2022年度までの研究でさまざま検討を行ってきた音刺激注意時の注意状態の他覚的評価法の検討継続と有用性に関する総合的評価も行い、4年間にわたる研究全体のまとめとして、注意・無視メカニズム不全の可視化とヒトの選択的注意機構の意義解明に関する総括を行う。
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