本研究では緑内障関連遺伝子の神経脆弱性について検討した。東北大学メディカルメガバンク機構が構築したSNPアレイであるジャポニカアレイを用いたSNPタイミングからゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、得られたゲノムワイド有意水準を超える遺伝子をゲノム編集するためのレンチウイルスベクターCRISPRライブラリーを構築した。また評価に用いる培養細胞としてヒト神経芽細胞株SH-SY5Y細胞にSpCas9を恒常的に発現する安定発現細胞株を樹立した。本細胞とレンチウイルスベクターによるゲノム編集が実施可能かどうかを検証するため、陽性コントロールとして緑内障関連遺伝子であるCDKN2B-AS1をゲノム編集し遺伝子変異が導入されることを確認した。また、このCDKN2B-AS1遺伝子変異導入細胞は通常培養条件下で細胞死が有意に引き起こされることから、CDKN2B-AS1の遺伝子変異は神経細胞の脆弱性を関わることが示唆された。現在、本成果をまとめ論文投稿中である。さらに、本SpCas9安定発現細胞株に対しレンチウイルスベクターCRISPRライブラリーを処理したところ、ランダムに緑内障関連遺伝子がゲノム編集された細胞群はアポトーシスが誘導されることを確認した。このアポトーシスが誘導される細胞集団をFACSで単離した。今後、この細胞を次世代シーケンサーで解析し、ゲノム編集された遺伝子を同定し解析を進める予定である。
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