研究課題
本研究では申請者が開発を進めてきた「皮膚潰瘍に存在する間葉系細胞から上皮細胞への細胞系譜の転換を介して、潰瘍面から直接的に上皮化、創傷の閉鎖をはかる皮膚潰瘍治療法」の臨床応用へ向けた研究開発を進めた。特に皮膚皮下組織の間葉系細胞に特化した指向性を有するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を開発する目的で、AAVの一部をランダム化したペプチドディスプレイウイルスライブラリを作成し、マウス皮膚潰瘍面を用いた定方向進化法をかけることによって新しいカプシドを開発した。Deep learningによる病理組織解析手法を導入することによって動物間のばらつき、実験手技によるばらつきの影響を最低限に抑えながら、定量的に比較検討を行う方法について最適化を進め、新規開発したAAVカプシドの既存カプシドに対する優位性を確認した。また、類似の原理に基づいて、誘導された上皮に対して遺伝子導入を行うための新規AAVカプシドを開発し、既存カプシドに対する優位性を明らかにした。一方、複数の転写因子を単一の細胞に対して同時に遺伝子導入するためのポリシストロニックベクターの開発を目的として、転写因子セットの全配列順に連結したウイルスベクターコンストラクトを作成し、ヒト・マウス細胞を用いてin vitro細胞系譜転換実験を行い、転換効率の観点から細胞系譜転換に最適な配列順が明らかとなった。当該ポリシストロニック配列を用いた生体内での誘導系の開発を進めた。また、社会実装に向けてより大きな課題を解決することも目的に、毛髪や脂腺など皮膚付属器を有する皮膚の誘導法の開発に取り組んだほか、皮膚潰瘍面への遺伝子治療臨床応用に際しての障壁として危惧されるOff target効果を最低限とするための新しいキャリアを用いたコントロールリリース法を開発し、キャリアの皮下領域における代謝動態を明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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