研究課題
虹彩に発生する悪性黒色腫(以下Melanoma)のうち、遠隔転移を起こした群ではGタンパク質ファミリーのうちGqαサブユニット群(以下Gq)の遺伝子変異が高率に認められること、また動物実験により、Gq遺伝子変異株ではMAPキナーゼ系の活性化(細胞増殖の活性化)および有意に転移をきたしたことが報告された。その後、Melanomaのみならず消化器系や呼吸器系に発生した悪性腫瘍においても同様の知見が報告されつつある。本研究の目的は、光とMelanomaの関連においてこれまで示されてきた「光線暴露が発生の危険因子である」ことに加え、「光線暴露は増殖・転移の危険因子でもある」ことを細胞生物学的に示すことにある。われわれは2つのMelanoma細胞株(MEWO株およびG361株)を研究対象として選んだ。昨年度までにGq遺伝子の一残基変異(R138Q)を求めるために設計したssODNを用い、またguide RNAおよびCAS9タンパク質を同時にエレクトロボーレーションを行い、G361株に対して導入を行なった。本導入後、限界希釈法により細胞を96wellプレートに播種し、培養・増殖を行なった。各細胞株からゲノムDNAを抽出し、変異導入が期待される部分を含む領域をPCRで増幅したのち、AatIIで切断した(ssODNに制限酵素サイトをサイレント変異で導入した)。切断されたPCR断片の遺伝子配列を解析したところ、変異導入がいくつかの細胞株で行われていることが確認された。同様の手法でMEWO株に対しても変異導入を行なったところ、遺伝子配列上、変異が確認された。現在、スクリーニングを行い、クローンの単離を行なっている。なお、変異株では増殖速度が遅く、また細胞が小さい傾向が見られた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 25 ページ: 2126~2126
10.3390/ijms25042126