研究課題
味覚-舌・嚥下運動回路に対するアミノ酸の効果を検討するため、鏡像異性体であり、D体とL体で甘みと苦みの正反対の味を持つアミノ酸であるバリンの効果について調べた。In vivoの行動研究では、新生仔ラットはD体とL体のバリンで、行動に違いが見られ、D-バリンは好んで飲む傾向があったが、L-バリンは吐き出すなどの行動を示し、摂取を避ける傾向を示した。この結果より、in vivoの実験では D/L バリンの違いが明確に検出された。感覚と運動の結合を維持しながら味覚の伝導路を残すための標本として、マウスを用いて、孤束核、腕傍核、顔面核を含む舌付き-脳幹-脊髄摘出標本を作製した。標本は酸素化した細胞外液で満たしたチャンバーにこの標本を固定した。この標本を用いることにより、舌部に刺激を与えることができ 味覚と舌運動やそれ以降の嚥下運動の関係を研究することが可能になる。この研究では、生後 0 ~ 3 日のマウスの発達過程における味覚刺激に対する運動反応を解析した。出力として舌の動きを指標とし、舌の動きは舌筋に挿入された双極タングステン電極によって記録した。 D-バリンを舌に滴下すると3~6分後に舌の動きが増加したが、L-バリンは逆に舌の動きが止まり、抑制を示した。この結果より、D-バリンとL-バリンは区別されて認識されていることを示している。 このD体とL体の反応の違いが神経回路のどの部位で認識されるのかを明らかにするため、橋を除去した舌付き-脳幹-脊髄摘出標本を作製し、D体およびL体のバリンの効果を測定したところ、味覚神経回路では、橋がないとバリンによる舌の動きに差が見られなかった。この事より、D体とL体のバリンの認識には橋が必要であることが判明した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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