研究課題
前年度までに得られた結果では、妊娠母体における食餌に起因するワンカーボンメタボリズム(OCM)異常が、胎児および産仔において、エネルギー代謝関連臓器におけるDNAメチル化異常を誘導し、その結果として、世代を越えるOCM異常(特に葉酸-メチオニン経路の異常)、肥満感受性上昇、糖・脂質代謝異常を引き起こすことを確認していた。そこで、令和5年度は引き続いて、産仔の離乳以降の各週齢における各種アミノ酸、脂肪酸の質量分析、フラックスアナライザーを用いた酸素消費量・エネルギー代謝測定などの詳細な解析を行った。その結果、妊娠母体のOCM関連栄養素の欠乏が、仔のエネルギー代謝関連臓器でのDNAメチル化異常のみならず、ヒストン修飾異常も誘導している可能性、さらに、その結果、脂肪酸の伸長や代謝に関わる遺伝子群の発現異常が生じ、肥満およびエネルギー代謝異常を誘導していることが判明した。一方、内在性オステオカルシン(OC)の発現解析とその作用(グリコーゲン分解酵素の発現誘導作用や脂肪分解促進作用)についての検証では、産仔の肝OCが妊娠母体の葉酸欠乏によって発現低下することや、胎盤にOCが高発現していることを証明し、妊娠母体のOMC異常による仔OC遺伝子のエピゲノム制御異常が仔の肥満やエネルギー代謝異常の原因のひとつとなっている可能性や、OCが胎盤でのグリコーゲン分解に関わることで胎児のエネルギー供給を調節している可能性が示唆された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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