研究課題
基盤研究(B)
本研究では、未だその発症・進行メカニズムの詳細が不明な侵襲性歯周炎(AgP)において、患者由来のiPS細胞(AgP-iPS細胞株)を樹立し、様々な細胞機能解析を行った。その結果、AgP-iPS細胞は、正常iPS細胞、ヒト歯髄幹細胞、ヒト歯根膜線維芽細胞と比較して、細胞増殖能・硬組織系細胞分化能について異なった表現型を示した。さらに、ヒストン脱アセチル化酵素への感受性実験から、AgP-iPS細胞株は、ユニークなエピゲノム構成を示すことが明らかとなった。
歯周病学
これまでに、侵襲性歯周炎における原因遺伝子・分子を同定するために様々な遺伝子多型解析やGWAS解析が行われてきた。しかしながら、遺伝子変異とAgPの病態とを結びつける決定的因子の同定には至っていない。本研究では、これまでに世界的にも報告の無かったAgP患者由来iPS細胞を樹立し、そのエピジェネティク機能を解析した。本研究成果から、AgPの分子病態メカニズムの一端が明らかとなり、AgPに対する新たなる治療薬や遺伝子診断法の開発の基盤に繋がる可能性が示された。