研究課題/領域番号 |
20H03868
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 教授 (80302157)
|
研究分担者 |
青木 徹 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (10283350)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
河合 泰輔 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (30350143)
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40261523)
小林 馨 鶴見大学, 歯学部, 教授 (50139614)
荒木 和之 昭和大学, 歯学部, 教授 (50184271)
藤原 航三 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70332517)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 歯科用CT / フォトン・カウンティング |
研究実績の概要 |
歯科用コーンビームCT(歯科用CT)は、X線不透過性の極めて高いインプラントや歯科材料が撮影範囲に含まれるため、アーチファクトの軽減と組織のX線吸収値の安定化(定量化)が課題である。近年、微弱なX線を感知する素子としてテルル化カドミウム(CdTe)半導体が注目されている。CdTe半導体は、X線を直接感知することができるため検出感度や画質の低下が少なく、光子(フォトン)をそのままカウントすることにより、物質の原子番号や電子密度によるエネルギースペクトルの変化を定量評価することが可能である。本研究は、CdTe半導体検出器を歯科用CTに搭載することで、歯科用CTに実用可能なフォトン・カウンティング機能を開発し、骨や歯のエックス線に対するモノクロマティック特性に依存した多元的分析が可能であり、かつアーチファクトの極めて少ない、高い濃度分解 能、空間分解能を有した歯科用CT装置の実現化を目指すものである。 2021年度は 1)高電圧出力を可能とした管球およびライン型CdTe半導体検出器をプロトタイプの歯科用CT開発用冶具(以下、開発用冶具)に設置した。 2)抜去歯に対し、CdTe半導体検出器によるフォトン・カウンティング機能を用いて、エナメル質と象牙質の実効原子番号及び電子密度の算出を可能とする計算式を検討し、そのカラー画像化を試みた。その結果、エナメル質と象牙質には明瞭な差が確認され、う蝕についても明瞭にカラ―表示が可能であった。 3)フォトンカウンティングを用いて、下限値設定を行っての画像化を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
以下の2点が遅れを招いた理由である。 1)CdTe半導体検出器の改良を行いながら研究を進めていく予定であったが、半導体が入手困難となり、検出器設計に大幅な遅れが生じている。 2)静岡大学で申請者および分担者が資料のエックス線撮影をしながら、装置および撮影条件の改良を加えていき、適切な撮影条件を検討するはずであった。新型コロナの感染拡大により、幾度かの出張制限がおこり、一緒に実験を行うことが出来なかったため、実験の進行が大幅に遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
[1]CdTeモジュールと電気回路の改良 今年度は各種撮影条件(電圧、電流、フィルタ、フレームレート)でのモジュールの受光能力やデータ処理の安定性について検討する。さらに、得られたスペクトルデータを集約する高速処理LSIのさらなる高速化を進める。 [2]多元分析画像用アルゴリズムの開発 1)フォトンカウンティングをにより、エネルギーの下限値処理を行ってのCT画像作製を行い、歯科用材料のアーチファクト軽減と画像解像度を検討する。 2)1)で検討した撮影条件ごとの画質(空間分解能、濃度分解など)について歯科用CT評価用ファントムおよび頭頸部CT用ファントムを用いて評価する。さらに、歯科用材料をファントムに埋め込み、アーチファクト除去アルゴリズムについても検討する。
|