研究課題/領域番号 |
20H03871
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今里 聡 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80243244)
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研究分担者 |
北川 晴朗 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50736246)
壷井 莉理子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任助教(常勤) (20827430) [辞退]
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
佐々木 淳一 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (50530490)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯学 / 歯科材料学 / 生体材料学 / スマート・マテリアル / ガラス |
研究実績の概要 |
令和3年度は、令和2年度に得られた成果に基づいて、環境応答型および病態応答型ガラスの細菌あるいは細胞に対する作用を検討し、各ガラスの機能解析を行った。 まず、環境応答型の亜鉛含有ガラスのStreptococcus mutansに対する抗菌効果を検討するため、pH7.4、pH6.1、あるいはpH5.1に調製したS. mutansの菌液にZn含有ガラスを浸漬し、24時間培養後に生菌数を評価したところ、菌液のpHが低い条件下で培養する方が、より効果的にS. mutansを抑制できることが分かった。一方、中性pHで溶解するガリウム含有ガラスのPorphyromonas gingivalisに対する抗菌効果を検討するため、ガリウム含有ガラスをP. gingivalisの菌液(pH7.4)に浸漬し、24時間培養を行うと、生菌数が減少することが確認された。 つづいて、病態応答型のストロンチウム含有ガラスの細胞毒性に及ぼす影響を検討するため、試作ガラスを細胞培養用培地に24時間浸漬し、得られた培養上清の存在下で骨芽細胞様細胞を培養したところ、試作ガラスから得られた溶出液に細胞毒性が認められないことが確認された。次に、ヒト間葉系幹細胞の増殖や骨分化に及ぼす影響を検討するため、試作ガラスの存在下で3、5、および7日間培養後に細胞数の変化を測定し、培養7、14日目にアルカリフォスファターゼ(ALP)活性、培養28日目にvon Kossa染色による評価を行った。その結果、試作ガラスは、ヒト間葉系幹細胞の増殖に対する作用は認められなかったものの、骨分化を促進する作用を示すことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究実施計画に則り、環境応答型および病態応答型ガラスの細菌あるいは細胞に対する作用を検討し、前述のように、亜鉛含有およびガリウム含有ガラスが酸性あるいは中性pHで抗菌効果を発揮することを明らかとし、また、ストロンチウム含有ガラスが骨分化を促進する作用を示すことが明らかとなったことから、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に得られた結果に基づいて、環境応答型の亜鉛含有およびガリウム含有ガラスを混和したガラスの抗菌効果を検討する。また、病態応答型に関しては、抗炎症作用を示すリチウム含有ガラスの細胞に対する作用を検討する。
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