研究課題
H3K27acおよびBRD4によるCHIP-Seq法で,Cetuximab (CTX) 耐性口腔癌細胞株(HSC-3-R・SAS-R)に特異的なスーパーエンハンサー領域を検索・同定した.CTX耐性口腔癌細胞株に共通したスーパーエンハンサー領域は68領域であり,その領域の標的候補遺伝子を131個同定した.さらに,131の標的候補遺伝子に対してThe Cancer Genome Atlas (TCGA) を用いて臨床検体における標的遺伝子の発現量や5年生存率について統計的に解析した.131遺伝子の中で,34遺伝子が有意に(p<0.05)口腔癌組織で発現が上昇しており、そのうち4遺伝子(CARD19・CENPA・PISD・TRAF2)は5年生存率と有意な(p<0.05)相関を示した.UCSC Genome Browserで確認すると,上記の4遺伝子(CARD19・CENPA・PISD・TRAF2)は,SE領域もしくはその上流に位置していた.CTX耐性口腔癌細胞株においてもmRNAレベルで有意な発現亢進を認め,CTX耐性スーパーエンハンサーの標的遺伝子として抽出された.さらに,Gene set enrichment analysis (GSEA)解析では,上記4遺伝子高発現の群ではcell cycleや細胞修復に関する遺伝子セットが有意に濃縮されていた.低発現の群では, PI3K-Akt-mTOR-signalingやchemokine signalingの遺伝子セットが有意に濃縮されていた.本研究によりCTX耐性スーパーエンハンサーの存在が明らかとなった.さらに,口腔癌患者の予後と深く関与するCTX耐性スーパーエンハンサーの標的遺伝子を見出した.今後,同定された標的遺伝子のCTXシグナルにおける詳細な役割を分析することが,CTX耐性克服の新たな治療戦略になると考えられた.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int J Mol Sci.
巻: 23(16) ページ: -
10.3390/ijms23169154