研究課題
基盤研究(B)
CHIP-Seq法でCetuximab (CTX) 耐性口腔癌細胞株に特異的なスーパーエンハンサー(SE)領域を検索・同定した.さらに,CTX耐性口腔癌細胞株に共通したSE領域に存在する標的遺伝子を抽出し,TCGAを用いて臨床検体における標的遺伝子の発現量や5年生存率について統計的に解析した.UCSC Genome BrowserでSEと標的遺伝子の位置関係を確認し,Gene set enrichment analysis (GSEA)解析で濃縮されている遺伝子セットも解析した.本研究によりCTX耐性SEの存在と口腔癌患者の予後と深く関与するCTX耐性SEの標的遺伝子を見出した.
口腔癌における分子生物学
本研究での抗癌剤耐性SEの同定を契機に, エピジェネティックな発現制御機構を利用した新規治療法・薬剤を開発することが見込まれ, 真に有効な新しい口腔癌耐性克服への治療応用にむけて大いに期待できるものである. これは, 個々の耐性関連機能ではなく, 系統的に複数の機能を制御する共通エンハンサーを利用するという点できわめてユニークな治療法になるものと言える. また, 担癌患者の長期社会復帰などを実現させる可能性もあり, その社会的意義も大きいと考えている.