研究課題/領域番号 |
20H03885
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北條 宏徳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80788422)
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研究分担者 |
大庭 伸介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20466733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨再生 / 細胞系譜実験 |
研究実績の概要 |
2020年度は、骨修復に寄与する骨格系体性幹細胞の同定と骨芽細胞分化機構の可視化を検討した。まず、マウス頭蓋骨骨欠損モデルの最適化を行った。本モデルは骨欠損の大きさに応じて骨修復の度合いが異なることが知られている。モデルの再現性(毎回同じ大きさの欠損を作製できるか)と骨修復スピード(骨欠損8週間以内に修復するか)を指標に、骨欠損サイズを最適化した。 次に骨発生過程における体性幹細胞集団を特徴づける遺伝子として知られているGli1とSox9に着目して、それぞれの細胞集団の骨修復時のlineage tracingを比較検証することで、骨修復に対する寄与を検討した。具体的には、Gli1-CreERマウスもしくはSox9-CreERマウスを、Cre依存的に蛍光タンパク質Tomatoを発現するtdTomatoマウスと交配し、そのコンパウンドマウス(Gli1-CreER;tdTomato, Sox9-CreER;Tdtomato)を作出した。 次に、準備したコンパウンドマウスにおいて、最適化したサイズの骨欠損を作製し、タモキシフェン投与により標識した骨格系体性幹細胞の骨修復に対する寄与を検討した。骨欠損作製後、1週、2週、4週経過後に組織を回収し脱灰した後、組織切片を作成し骨修復部におけるTdtomato陽性細胞を観察した。免疫組織学的解析により、標識したtdTomatoと骨芽細胞分化マーカーRunx2およびSp7/Osterixとの共染色を行い、骨修復部位に存在する骨芽細胞に対して、体性幹細胞由来細胞の寄与を検討した。その結果、Gli1標識細胞よりもSox9標識細胞の方が骨修復に寄与することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨修復モデルの最適化と細胞系譜実験解析により、骨修復を研究する基盤が確立した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で最適化した骨修復モデルを用いて、当初の予定通り一細胞解析を進める。
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