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2020 年度 実績報告書

感覚入力を含む包括的ネットワークにおける口腔機能の出力統合メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H03887
研究機関大阪大学

研究代表者

古郷 幹彦  大阪大学, 歯学研究科, 教授 (20205371)

研究分担者 田中 晋  大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00367541)
山西 整  大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (20397780)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード咀嚼 / 嚥下 / 口
研究実績の概要

咀嚼運動系でのOrexin-Aの効果について
SD系ラットを用いて三叉神経中脳路核を含む冠状断脳幹スライスを作製し、同核ニューロン(MTN)からwhole cell記録を行った。Current-clamp recording条件下で、細胞外液中にorexin-Aを投与すると活動電位誘発にてAHPの再分極過程は有意に短縮し、連続発火活動において活動持続時間は延長し、スパイク周波数が上昇することにより、MTNの興奮性は増大することが明らかとなった。0-250HzのZAP電流を細胞内通電することにより観察される周波数膜応答特性に対するorexinの作用を検討したところ、閾膜下脱分極電位条件下で誘発されるhigh frequency resonanceの周波数-インピーダンス曲線において、orexin-A投与条件下では、ピーク値、Q-Valueはいずれも有意に上昇し、周波数も増大した。voltage-clamp recording条件下でINaPを誘発し、orexin-AをBath内投与したところ、最大電流振幅値、電流密度はcontrol条件下と比較して有意に増大、活動は過分極にシフトすることが明らかとなった。この結果をビーグルを用いて確認した。
嚥下運動系での5-HTの効果について
新生仔ラットの脳幹から嚥下中枢を含む延髄スライス標本を作製した。5-HTの投与によって嚥下活動の発現頻度は有意に増加した。また嚥下の神経活動も有意な増大を認めた。嚥下活動時に認められる呼吸抑制に関しては5-HTによる影響は明らかではなかった。また片側舌下神経核への5-HT局所微量投与によって嚥下活動は促進した。5-HT1A受容体作動薬の投与時も同様であった。一方で両側孤束核への5-HT投与では嚥下活動は抑制された。また標本内に含まれる縫線核(不確縫線核:B2)への5-HT投与によっても嚥下活動は抑制された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

咀嚼系の研究でも嚥下系の研究でも結果が得られている。コロナ禍で学術的発表ができにくい状況であるが実験結果が得られているので問題とは考えない。分担者ともよく話ができている。

今後の研究の推進方策

咀嚼系においてorexin-Aは、持続性Na電流の(INaP)コンダクタンス値を修飾する可能性が示唆され、さらにorexin-AはINaPの活動特性を正方向に修飾することにより、MTNの興奮性を増大させることが推察されたのでさらに検討していく予定である。また嚥下系で5-HT1A以外の受容体作動薬の嚥下活動に対する効果も検討することによって、より詳細な5-HTの作用を明らかにする必要がある。また5-HTによって影響を受けたスライス標本内の各領域のニューロンの組織学的な伸長を明らかにすることにより、嚥下関連ニューロンのサーキット回路の解明を行うことができると考えている。

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公開日: 2021-12-27  

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