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2020 年度 実績報告書

リアルタイム音声可視化システムを応用した視覚フィードバック口蓋裂言語訓練法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20H03891
研究機関鹿児島大学

研究代表者

中村 典史  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)

研究分担者 上田 裕市  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00141961)
石畑 清秀  鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (10437957)
手塚 征宏  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50759777)
小倉 道広  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 言語聴覚士 (60867745)
坂田 聡  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80336205)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード口蓋裂 / ニューラルネットワーク / 構音異常 / 音声可視化
研究実績の概要

本研究では、ニューラルネットワーク(以下、NN)を用いた構音特徴分析に基づいて、リアルタイム音声可視化表示、ならびに舌位置の可視化によって、視覚的フィードバックを可能にする言語訓練法を開発し、口蓋裂患者への臨床応用の実現化を目指すものである。本研究期間では、このNNシステムを口蓋裂患者に適用し、瘻孔閉鎖術前の構音点の異常の客観的評価に応用してきた。対象は、口蓋裂異常構音に影響する口蓋瘻孔を有する患者とし、瘻孔閉鎖術前後の鼻咽腔閉鎖機能をナゾメータ、鼻咽腔ファイバースコープで評価し、さらに構音動態をNNシステムならびに言語聴覚士による聴覚判定で解析した。その結果、術後の鼻咽腔閉鎖機能が改善するにつれて、異常構音が明らかに減少し、健常者の構音と近似していくことが明らかになった。また、これらのNN解析の結果は、複数の言語聴覚士の聴覚判定とほぼ相関するもので、口蓋裂言語の可視化表示が信頼できるものであることが明らかになった。これらの口蓋瘻孔閉鎖前後の言語機能の変化、ならびにNNシステムを用いた音声特性解析による構音点の変化の視覚的描出については国際誌に論文を投稿した。
さらに、本研究期間では、保存してきた健常児、異常構音者の経時的な音声データを用いて、鼻咽腔閉鎖機能、構音点および構音様式のリアルタイム表示を可能にする構音訓練支援ソフトウェアの改良を進めた。また、タクタイルセンサーを小児の口蓋に適用して舌接触圧測定による舌運動分析を行うことを検討したが、シートは柔らかさに欠け、シートの浮き上がりによって構音点の正確な描出が困難なために、エレクトリックパラトグラムを用いた舌運動解析を行うこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、母音を色彩で、子音を縞模様などのテクスチャーといった音声の可視化と実際の舌位置の可視化を組み合わせて、小児でも判別しやすい視覚的なフィードバック方法を考案することが最終目的であり、本研究期間では、保存してきた健常児、異常構音者の経時的な音声データを用いて、鼻咽腔閉鎖機能、構音点および構音様式のリアルタイム表示を可能にする構音訓練支援ソフトウェアの開発をおこなってきた。しかし、新型コロナウィルス感染症対策により、研究者間の移動が障害され、臨床応用できる有用なソフトウェアの開発が順調に進まなかった。
また、タクタイルセンサーを小児の口蓋に適用して舌接触圧測定による舌運動分析を行うことを検討したが、シートは柔らかさに欠け、シートの浮き上がりによって構音点の正確な描出が困難なために、代替え方法としてエレクトリックパラトグラムを用いた舌運動解析を行うこととした.

今後の研究の推進方策

鹿児島大学病院で治療している口蓋裂患者のさまざまな異常構音の経時的な音声データならびに言語聴覚士による音声評価結果を継続的に蓄積する。NNシステムを用いた音声特徴解析によって、鼻咽腔閉鎖機能、構音点および構音様式のリアルタイム表示を可能にする構音訓練支援ソフトウェアの開発について今後も継続し、口蓋裂では音声の後方化が特に問題となることから、口蓋-咽頭部の矢状断面画像で構音点をリアルタイムに描出できる構音訓練支援ツールのソフトウェアの開発を行う。さらに、構音訓練支援ツールの言語訓練の場での試行を繰り返すことにより、患者の視覚的フィードバックに最適な描出法は何かを検討する。また、舌運動分析について、前述のごとく、エレクトリックパラトグラムによる舌運動分析を継続的に行い、言語訓練中の患児が視覚的に構音点を捉え、行動変容に応用できることを確認する予定である。
さらに、口蓋裂患者において鼻咽腔閉鎖機能、構音点および構音様式それぞれの変化を解析することにより、現在問題となっている、口蓋裂術後の異常構音の発生メカニズム、ならびに消失メカニズムについて分析を行い、より科学的理論に裏打ちされた口蓋裂言語訓練法の開発を行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Using three-dimensional nasal forms to compare definitive unilateral cleft lip nose correction with/without a cross-lap joint cartilage graft technique.2020

    • 著者名/発表者名
      Okawachi T, Ishihata K, Kimura N, Tezuka M, Kamikuri Y, Nozoe E, Nakamura N
    • 雑誌名

      Journal of Cranio-Maxillofac Surgery

      巻: 48 ページ: 1035-1044

    • DOI

      10.1016/j.jcms.2020.08.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Alternative successful functional recovery of total full-thickness velar defect following recurrent oropharyngeal carcinoma resection: A case report2020

    • 著者名/発表者名
      Tezuka M, Hirahara N, Kamikuri Y, Ishida T, Nakamura N
    • 雑誌名

      Journal of Oral Maxillofacial Surgery, Medicine and Pathology

      巻: 32 ページ: 498-502

    • DOI

      10.1016/j.ajoms.2020.07.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 口唇形成術後に肺炎加療を要した13トリソミーの1例2020

    • 著者名/発表者名
      中囿賢太、石畑清秀、岐部敏郎、手塚征宏、渕上貴央、中村典史
    • 雑誌名

      日本口蓋裂学会誌

      巻: 45 ページ: 220-224

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 顎間骨整位術と顎裂部への骨移植後に小臼歯の移植を行った両側性不完全唇顎口蓋裂を伴う不正咬合症例2020

    • 著者名/発表者名
      丸谷 佳菜子, 權 相豪, 友成 博, 中村典史, 宮脇 正一
    • 雑誌名

      九州矯正歯科学会雑誌

      巻: 15 ページ: 51-56

    • 査読あり
  • [学会発表] 口蓋化構音の再分類の試み -聴覚的判定とNeural Networkによる音声分析の比較2021

    • 著者名/発表者名
      上栗裕平, 手塚征宏, 小倉道広, 渕上貴央, 岐部俊郎, 中村典史
    • 学会等名
      第45回日本口蓋裂学会総会・学術集会
  • [学会発表] 当科の口蓋裂手術の工夫と言語の『見える化』の取り組み2020

    • 著者名/発表者名
      手塚征宏, 上栗裕平, 坂田 聰, 上田裕市, 中村典史
    • 学会等名
      第65回日本口腔外科学会総会・学術集会
  • [学会発表] 当科における口蓋裂術後の4歳時言語成績2020

    • 著者名/発表者名
      上栗裕平, 手塚征宏, 渕上貴央, 岐部俊郎, 松永和秀, 西原一秀, 中村典史
    • 学会等名
      第44回日本口蓋裂学会総会・学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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