研究課題
令和3年度に1歳半児216名から採取した舌スワブサンプルより口腔細菌叢のDNAを抽出して、PacBio sequelを用いた16S rRNA遺伝子の全長解析を開始し、令和4年度にそのシークエンス解読が完了した。そこで、取得した塩基配列データをもとに細菌叢解析を行なった。4か月児健診では400名を超す乳児から舌苔サンプルを取得できていたが、コロナ禍の影響で1歳6か月児健診では216名の幼児しか健診できなかったので、この216名について4か月の乳児期とその母親の検体を含めた計645検体を同時に解析し、その類似度や関連性について明らかにした。その結果、4か月児の時点では舌苔細菌叢は極めてシンプルな細菌叢構成であり、大きく8つのクラスターに分かれた。これに対し、1歳6か月児の時点では細菌叢の多様性が急速に増加し、成人の細菌叢構成に大きく近づき、一部乳児様の細菌叢構成を示す者がいる一方で、大部分は成人の細菌叢のように我々が過去に定義した不健康な状態に関連するタイプ1様および健康な状態に関連するタイプ2に大別できた。しかしながら、乳児期の細菌叢の8つのクラスターはタイプ1あるいはタイプ2とはとくに有意な関連性を示さなかったことから、乳児期の細菌叢はその後の細菌叢の成育にはとくに影響を及ぼさないと考えられる。一方で、他の生活要因と1歳6か月児の舌苔細菌叢の関係を調べると食生活がタイプ1あるいはタイプ2の舌苔細菌叢の形成に関連することが示唆された。現在、他の生活因子も考慮して1歳6か月児の舌苔細菌叢形成に影響を与える因子の解明を試みている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Journal of Dental Research
巻: - ページ: -