2020年度から引き続き、研究参加の拒否を電話およびWebで受け付けた。2021年度に実施された市の子宮頸がん検診の結果を受けて実施された精密検査の結果が協力自治体から提供され、研究のためのデータベースに登録した。 自己採取HPV検査が全て終了した時点で、副次的解析のためのデータ固定を行った。自己採取HPV検査を実施した参加者にアンケート調査を実施し、子宮頸がん検診未受診の理由、自己採取HPV検査を経験した感想等を調査した。子宮頸がんを受診しない主な理由は、「時間がない」、「予約を取るのが面倒」、「恥ずかしい」であり、自己採取HPV検査の導入で解決できる可能性が示唆された。自己採取HPV検査の感想はおおむね良好であったが、自己採取の正確性に不安を感じている方が多かった。将来のがん検診としては、医師採取による検診より自己採取による検診が好まれた。アンケート調査結果は、査読のある雑誌に掲載された。 精密検査結果を研究のためのデータベースに登録した後、主解析のためのデータ固定を行った。介入群とコントロール群の子宮頸がん検診の参加率、Cervical intraepithelial neoplasia grade 2 (CIN2) 以上の検出率等を比較した。さらに、自己採取HPV検査が陽性だった女性の細胞診トリアージ検査の受診率を算出した。介入群の検診参加率はコントロール群に比べて有意に高く、自己採取HPV検査が検診受診率を向上させることが明らかになった。一方、CIN2以上の検出率は、両群に差が認められず、その主な理由は、自己採取HPV検査陽性者に対する細胞診トリアージ検査の受診率が低いことであると考えられた。CIN2以上の検出を最大化するためには、自己採取HPV検査陽性者に対して、細胞診トリアージ検査の受診を促すさらなる工夫が必要である。結果は査読のある雑誌に掲載された。
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