研究課題/領域番号 |
20H03908
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
稲井 邦博 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (30313745)
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研究分担者 |
小林 英津子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20345268)
法木 左近 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (30228374)
清水 昭伸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262880)
木戸 尚治 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (90314814)
平野 靖 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 病理解剖用ロボット / 医療事故調査 / 医工連携 / オートプシー・イメージング / 人工知能 |
研究実績の概要 |
①全身解剖、最小侵襲解剖、低侵襲解剖の診断精度の比較検証:主要臓器の微小切片(2 x 0.3 mm大)を作成し有所見箇所を検証すると、悪性腫瘍の存在40%、心疾患30%、呼吸器90%、肝臓60%、腎臓10%と、微小標本でも一定の所見を得ることは可能なことを見いだしたが、直接死因を推定することは困難であった。 ②臓器反力・破壊力計測とそれに基づく低侵襲病理解剖用ロボットの開発:膵切除に対するコンピュータ支援ステープラー開発の実験系を基盤として、臓器に対して過度の破壊を伴わず、2 x 3 cm大の組織片を採取できるロボットアームの試作を行い、動物組織等で掘削試験を行ってきた。当該研究の詳細な内容は2022年度の日本コンピュータ外科学会で発表予定である。 ③AIを活用した死後経過時間推定法の確立と検証:Ai画像を用いたdeep learningを行い、死後経過時間推定に有用なパラメータの抽出を試み、その成果を報告した。 ④Ai-CT画像からの臓器重量推定法の確立:AIを活用した肝臓および腎臓領域の抽出研究に加え、経時的に臓器体積変化を計測することで速度論的に各種肝萎縮の鑑別が可能となることを明らかにした。 ⑤立体肺内部構造観察用教育ツール(e-text)の開発:福井大学を中心として、継続的に立体固定肺の表面形状、内部構造のCT画像、マイクロCT画像セット画像データを収集し、20余体分の蓄積に成功した。 ⑥CT画像の超解像度化・精細化技術の確立:立体固定した肺疾患のCT画像とマイクロCT画像をAI学習させる過程で、AIが作成する可能性のあるfake画像の除去を目指したAI研究に着手しており、その成果はCARS 2022国際学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う医療従事者・研究者の安全性確保から、当該機関の病理解剖件数が著しく低下した。それに伴い、一部の研究では研究実施に必要な症例数(検体数)が不足している問題がありやや遅れているものの、既存の未使用解剖検体で短期間に補完することは可能であり、概ね順調に進展していると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
①全身解剖、最小侵襲解剖、低侵襲解剖の診断精度の比較検証:解剖数減少に伴う予定症例数の減少を鑑み、保存検体を活用した症例数の確保に勤めるとともに、Ai情報を加味した場合の、死因推定能力の向上について検討を進める。 ②臓器反力・破壊力計測とそれに基づく低侵襲病理解剖用ロボットの開発:ロボットアームの精度検証を進めるとともに、ロボットと検体採取臓器の密着生を高めるための吸引式圧着方法を可能とする機構を構築する。 ③AIを活用した死後経過時間推定法の確立と検証:これまでに抽出したパラメータを活用し、未知標本に対する死後時間推定を実践するとともに、更なるAIの機能向上を図る。 ④Ai-CT画像からの臓器重量推定法の確立:臓器領域の自動抽出のみならず、CT画像からの体表面積推定や、疾患の経緯と病態を明らかに出来る解析法を確立する。 ⑤立体肺内部構造観察用教育ツール(e-text)の開発:e-text構築に必要となる画像データの蓄積を推進するとともに、立体図譜作成のための方法論を確立する。 ⑥CT画像の超解像度化・精細化技術の確立:臨床用CT画像から作成した高精細化画像とマイクロCT画像、病理組織所見との整合性を検証し、精度向上を推進していく。
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