研究課題/領域番号 |
20H03919
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
石川 ひろの 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40384846)
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研究分担者 |
木内 貴弘 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10260481)
高山 智子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 部長 (20362957)
伊藤 香 帝京大学, 医学部, 講師 (00814633)
加藤 美生 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70769984)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヘルスコミュニケーション / ヘルスリテラシー / Shared Decision Making / 協働意思決定 / 患者・市民参画 / 協働 |
研究実績の概要 |
治療における患者の主体的な参加、意思決定の共有(Shared Decision-Making:SDM)、医学教育や研究、政策における患者・市民の参画(Patient and Public Involvement:PPI)など、近年保健医療の様々な場面で患者・市民の参加、医療者との協働が求められている。こうした参加や協働の前提として、ヘルスリテラシーへの注目も急増してきた。本研究は、対人・地域・政策など様々なレベルを含むヘルスコミュニケーションの改善を通じて、“参加できる患者・市民”と“参加を促せる医療者・専門家”を育てることを目指している。 本年度は、まず申請時の研究計画に基づきながら、研究全体の枠組みを構築し、各研究の相互関係を位置づけて具体化した。また、患者・市民と医療者・専門家の協働に関連するSDMなどの概念について文献をレビューし、整理した。 目的①に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を考慮し、当初郵送及び対面で予定していたヘルスリテラシーと参加・協働に関する調査を、一般市民を対象としたオンライン調査の形で実施した。この調査の結果は現在分析中であり、今後結果をまとめて発表していくとともに、本研究の他の調査を行う際の資料とする。 目的②に関しては、米国で開発され普及している“悪い知らせ”を伝えるなど難しい場面におけるコミュニケーションのトレーニングプログラムであるVital Talkについて日本語版の開発を行い、日本における適用可能性について検討した。合わせて、オンラインでの実施に向けた準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者・市民と医療者・専門家の協働に関連する概念についての文献レビューや整理はおおむね予定通り実施できた。 新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、目的①の一部調査の見直しを図り、形式と対象を変えての実施となったが、オンライン調査として実施し、現在分析中である。 目的②に関しては、米国で開発され普及している“悪い知らせ”を伝えるなど難しい場面におけるコミュニケーションのトレーニングプログラムであるVital Talkについて日本語版の開発を行い、日本における適用可能性について検討した。また、日本でのプログラム実施に向け、本研究においてこれを主担当する研究分担者が米国で開催されている研修を受講し、準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中で、社会全体としてコミュニケーションのあり方が対面からオンラインへと大きく変化してきた。ヘルスコミュニケーションにおいても例外ではなく、オンラインでのコミュニケーションのもつ影響、重要性が増してきている。 一方、これまでの保健医療におけるコミュニケーション教育は、主に対面でのスキルを想定したものであり、オンラインでのコミュニケーションや協働に特有の困難や利点などを踏まえたスキルを検討していく必要がある。また、これまで対面で実施されてきた様々な市民・患者向けの健康関連の講座、医療者向けの講習会なども、今後オンラインに移行していくことが予想される。それに伴い、参加の促進・阻害要因、その効果なども変化する可能性がある。こうしたコミュニケーションのあり方における変化を踏まえ、オンラインでのコミュニケーションにも焦点あてながら、本研究を進めていく。 医療者向けのコミュニケーショントレーニングプログラムとして、今年度日本語版の検討を行ったVital Talkのオンラインでの実施に向けて準備し、実施可能性や効果についてパイロット的に評価を行う。
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