研究課題/領域番号 |
20H03923
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
石崎 達郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045)
|
研究分担者 |
増井 幸恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10415507)
高橋 由光 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40450598)
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 副部長 (80712033)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 服薬指導 / 薬物の把握 / 高齢者 / 生活機能低下 / フレイル |
研究実績の概要 |
【研究1】地域在住高齢者における多剤処方の健康影響の評価: ①レセプトデータの分析~北海道後期高齢者医療広域連合のレセプトデータから75歳以上の住民を対象に、外来医療において処方された薬剤種類数を把握し、処方薬剤数とその後の健康アウトカムとの関連を分析した。併存疾患数の影響を調整した多変量解析モデルにおいても、薬剤数が多いことはその後の要介護認定発生リスク、死亡発生リスクの増加と有意に関連していたことを明らかにした。 ②コホート研究データを用いた分析~当研究所が大阪大学らと共同で実施している長期縦断研究「SONIC研究」のデータを使用して、薬剤種類数と3年後の歩行速度や握力の変化との関連を分析した。調査参加者のうち70歳群と80歳群(合計1401人、70歳群が全体の47.5%)を分析対象者とし、薬剤数は調査対象者が持参したお薬手帳や薬剤情報提供書から内服薬に限定して情報を収集した。多変量解析の結果、年齢や疾患数等の影響を統計学的に取り除いても、薬剤数が10種類以上の者では3年後の握力低下と歩行速度低下のリスクが有意に増加したことを明らかにし、論文執筆中である。 【研究2】自治体が実施する服薬指導プログラムの実態把握: 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されたタイミングで、国民健康保険や後期高齢者医療制度の保健事業で服薬指導を実施した二つの自治体において、対面によるヒアリングを実施した。服薬指導事業の内容(対象者の抽出方法、指導・支援の方法・内容)と事業の評価(方法と内容)が困難であることがわかった。更には多剤処方に対する服薬指導だけではなく、重複・頻回受診といった受診適正化も自治体における重要課題であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レセプトデータと地域在住高齢者を対象としたフィールド調査データを使用した薬物数と健康指標との関連に係る分析は、順調に進展している。自治体職員を対象とするヒアリング調査は、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されたタイミングで、ヒアリングを実施することができ、服薬に関連する保健指導プログラムを考案する際に重要な情報を収集することができた。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の影響により、自治体による服薬指導実施や参加者の確保に困難が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
薬物種類数の健康影響に係る分析において、これまでは処方年月日や処方医療機関を把握することができなかったが、レセプト電算処理システムデータを入手できたことで、これらを考慮した分析用データの構築が可能となった。服薬指導の事業評価として、協力自治体からレセプト関連情報を入手し、服薬指導の定量的評価を実施する予定である。
|