研究課題
【研究1】地域在住高齢者における多剤処方の健康影響の評価:①レセプトデータの分析~北海道後期高齢者医療広域連合のレセプトデータから75歳以上の住民を対象に、外来で処方された薬剤種類数を把握し、併存疾患数と処方薬剤数の交互作用を検討した。その結果、併存疾患数、薬剤処方数のどちらも、数が多くなるにつれて要介護認定発生リスクと総死亡リスクは有意に高まっていた。②コホート研究データを用いた分析~当研究所が大阪大学らと共同で実施している長期縦断研究「SONIC研究」のデータを使用して、薬剤種類数と転倒経験との関連を分析した。69歳から91歳の調査参加者(1076名、女性50.6%、70歳群49.9%、80歳群45.5%)を分析対象者とした結果、年齢や疾患数等の調整後も、薬剤数0を基準とした場合に、薬剤数が1種類、2~4種類、5種類以上のいずれにおいても転倒リスクは有意に増加した。【研究2】自治体が実施する服薬指導プログラムの内容・評価の検討服薬指導を実施した自治体担当者からのヒアリングを参考に、服薬指導の企画、実施内容、評価方法を検討した。まず、事業企画時から地元医師会と薬剤師会に事業説明と協力依頼が望ましい。候補者抽出は外来レセプト情報を用い、慢性疾患に対して継続的な内服薬に限定し、成分単位で薬剤種類数を把握する必要がある。指導の優先度に基づいて参加勧奨を行うためには、処方内容や受診医療機関数等を検討する。服薬指導の評価は、アウトプット指標として候補者数、通知者数、指導実施者の人数・割合、アウトカム指標は、指導の理解度と満足度、服薬アドヒアランス、健康状態等が挙げられる。受診状況や処方状況の変化は、指導前の処方内容が適切である場合は現状維持が最適であり、薬剤数や受診日数が減少することが指導の成功を表す結果ではない点に留意する必要がある。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geriatr Gerontol Int.
巻: 24 Suppl 1 ページ: 306-310
10.1111/ggi.14760