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2020 年度 実績報告書

医療・介護ビッグデータを用いた再入院発生予測モデルの開発と再入院予防策への提案

研究課題

研究課題/領域番号 20H03924
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

光武 誠吾  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10520992)

研究分担者 土屋 瑠見子  一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 研究員 (20726525)
石崎 達郎  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30246045)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード再入院予防 / 移行期ケア / ビッグデータ / リハビリテーション / 老年医学 / ヘルスサービスリサーチ
研究実績の概要

入院時から再入院予防のための移行期ケアプログラムが必要な集団を特定するため、東京都健康長寿医療センターを退院した高齢患者を対象に、認知症の重症度と再入院との関連を検討した。
65歳以上の入退院患者(8,897名)を追跡した結果、238名(2.7%)が退院後90日以内に回避可能な原因で再入院していた。多重ロジスティック回帰分析にて性別・年齢、併存疾患、在院日数などを調整しても、回避可能な再入院の発生リスクは、認知症でない者に比べると、認知症が中等度な者では1.4倍、重度者では2.2倍高いことが分かった。認知症が中等度以上の者は、入院時から再入院予防のターゲットになり得る。本研究成果は米国・Alzheimer’s Associationが刊行する学術雑誌「Alzheimer’s & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoring」に掲載された。

また、簡易に入院患者の認知症重症度を把握するため、DASC-21(地域包括ケアシステムのための認知症アセスメントシート)とDASC-8から算出される重症度の一致度を検討した。入院時のDASC‐21データ(65歳以上19,775名)を解析すると、DASC-8のカテゴリーI(認知機能正常/手段的・基本的ADL自立)に当てはまる者の99%は、DASC-21で『認知症の可能性なし』に該当し、カテゴリーIII(中等度の認知症/手段的・基本的ADL低下)に当てはまる者の87%は『中等度・重度認知症』に該当した。一方、カテゴリーII(軽度認知障害~軽度認知症/手段的ADL自立・低下)に当てはまる者の39%はDASC-21の『軽度認知症』に該当したが、46%は『認知症の可能性なし』に該当した。DASC-21とDASC-8の重症度分類は目的によって使い分けが必要であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、医療・介護ビッグデータ(レセプトデータ)を用いて、心身機能の低下した入院高齢患者における退院直後の再入院の実態を把握するとともに、退院前後のケアに関わる医療・介護サービスが退院直後の再入院予防に与える効果を明らかにすることである。

これまで、医療ビッグデータを活用し、退院直後の再入院リスクに関わる要因を検討し、再入院予防策を特に必要とするターゲットとして、認知症が中等度以上であることなどを明らかにしてきた。また、診療報酬上の退院前後のサービスは退院直後の再入院を抑制していない可能性を示した。コロナ禍の影響で計画よりも追加データの入手が遅れたが、いずれの研究成果も国際雑誌に掲載されており、研究は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

最新のデータを追加した医療・介護データベースを構築するとともに、入院時の医療データを活用した精度の高い再入院の予測モデルの検討や、英国で開発されたHospital Frailty Risk Scoreの日本における外的妥当性の検証を進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Association of cognitive impairment severity with potentially avoidable readmissions: A retrospective cohort study of 8897 older patients2021

    • 著者名/発表者名
      Mitsutake Seigo, Ishizaki Tatsuro, Tsuchiya‐Ito Rumiko, Furuta Ko, Hatakeyama Akira, Sugiyama Mika, Toba Kenji, Ito Hideki
    • 雑誌名

      Alzheimers Dement

      巻: 13 ページ: e12147

    • DOI

      10.1002/dad2.12147

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Agreement on dementia severity levels between the 8‐item and 21‐item Dementia Assessment Sheet for Community‐based Integrated Care System2021

    • 著者名/発表者名
      Mitsutake Seigo, Ishizaki Tatsuro, Furuta Ko, Hatakeyama Akira, Sugiyama Mika, Awata Shuichi, Toba Kenji, Ito Hideki
    • 雑誌名

      Geriatr Gerontol Int

      巻: 21 ページ: 748~749

    • DOI

      10.1111/ggi.14205

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characteristics associated with hospitalization within30 days of geriatric intermediate care facility admission2021

    • 著者名/発表者名
      Mitsutake Seigo, Ishizaki Tatsuro, Yano Shohei, Tsuchiya‐Ito Rumiko, Jin Xueying, Watanabe Taeko, Uda Kazuaki, Livingstone Ian, Tamiya Nanako
    • 雑誌名

      Geriatr Gerontol Int

      巻: 21 ページ: 1010~1017

    • DOI

      10.1111/ggi.14278

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2022-12-28  

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