研究課題
よいお別れができることは終末期ケアの主目的である。Liverpool Care Pathwayに代表される標準化パスウエイが国際的に導入されてきたが、近年中止が勧告された。理由として、生命予後を正確に予測できなかったこと、患者・家族とのコミュニケーションが十分できなかったこと、苦痛緩和を得られる具体的な方法が明示されていなかったことが挙げられている。本研究の目的は、新たな死亡直前期のケアパスウエイの効果を検証することである。介入は、終末期の苦痛に対する緩和アルゴリズムと、お別れが言えるように患者・家族の橋渡しを行う看護ケアを軸とする複合介入である。緩和ケア病棟の終末期がん患者を対象として、遺族から見た緩和ケアの質評価(Care Evaluation Scale)や終末期のquality of life(Good Death Inventory)に改善が認められるかを検証する。2020年度までに介入方法の開発が終了し、呼吸困難やせん妄など終末期に頻度の高い苦痛緩和のアルゴリズム、および、患者・家族間のお別れをいえる橋渡し介入が構造化された。痛み、呼吸困難、せん妄に対して、用意した標準治療アルゴリズムに沿った治療を行い、治療抵抗性の場合はアルゴリズムにそった緩和的鎮静を行うための標準化を行うことができた。あわせて、患者・家族間のお別れをいえる介入として、患者・家族それぞれ別に、「もしこのまま具合が悪くなったとして、患者(家族)と話しておきたいことはないか」をきき、橋渡しを行うことが可能となった。2021年度に緩和ケア病棟の患者を対象として上記の複合介入を行い介入を終了した。アウトカム評価は遺族調査によって行う。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。