研究課題/領域番号 |
20H03931
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (50313747)
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研究分担者 |
審良 正則 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター, 放射線部長 (20393267)
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インジウム / 職業性肺疾患 / 画像診断 / 病態 |
研究実績の概要 |
インジウム肺についての中野らが追跡しているインジウム暴露者集団の中でCTが撮られている症例について、CTを供覧して読影を実施し、国際じん肺HRCT分類に準拠して所見を確認した。特徴的なCT所見を見出した。この内容については、インジウムの曝露量に関連する血中インジウム濃度に用量依存的に関連していると考えられた。これまでのインジウム肺が肺胞蛋白症であるという米国の研究者の説に対して、より深い洞察が与えられる結果と考えている。
これらの内容に直接的に触れた学会発表、論文発表はないが、職業性肺疾患の画像診断に関する研究成果を2編、自己免疫性の肺胞蛋白症に関する報告を1編行なっており、インジウム肺との対比が明らかになりつつある。また、インジウム肺を含めた総説的な内容をインドネシア呼吸器学会において招待講演を行った。
一方、動物実験においては、インジウムの曝露チャンバーはないものの、気管内投与、鼻腔投与を検討し、着実に実験を進めている。臨床の病態を表す動物実験結果はまだ、明確には捉えられていないが、ClinicopathologicのSurrogateという形ではあるが、形態学と病態学をつなぐ形でインジウム肺の全体像を捉えるべく研究を進めている。インジウム曝露により全身的な消耗性の影響が出ていることが確認でき、さらに肺に肉眼的にも確認可能な所見が出現していることを確認した。こうした所見の分析に先進的な測定機器を使える可能性についても学内の海洋コア総合研究センターの研究者と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分担研究者の中野は東京、審良は大阪にいるためコロナ禍の影響をまともに受けている。詳細についてデータをまとめているが、コロナ禍による周辺の状況のため、残念ながら論文化まで漕ぎ着けていない。新たな発見がある内容なので、早めに論文化するための方策が必要である。まだ、貴重な画像データの電子情報の確保について、収集されている画像データのデジタル化について進めるべく、診療放射線技師の力も借りて古い型の保存媒体を確認しているが、かなりの困難を伴っている。
動物実験においては、高知大学において全て実施している。コロナ禍で研究室への出入り制限の期間があったが、そうした困難を乗り越えながら実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究費を繰越させて頂いたことで、改めて研究を再開させる。5月に菅沼が主催する日本産業衛生学会においても、研究打ち合わせを行うことができる。画像研究においては、現在読影を行った内容についての整理と、結果を元に集合しての再度の確認を行いたい。また、進行しているインジウムコホートから病変の進展に関する画像情報があれば、追加して読影を行う。
動物実験については、着実に実施し、先端測定技術も活用できるかについて学内の海洋コア総合研究センターとも協議しており、本研究の枠組みからさらに発展させた形での共同研究を立案する考えである。
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