研究課題
日本(北海道)における血流感染由来MRSAは2019年8月から2年間で279株を収集・保管し、解析を行った。遺伝子型は、clonal complex (CC) 5(ST5/ST764)とCC1が各々47%、42%を占め、過去の結果に比してCC1-SCCmecIVaの増加が顕著であった。7株のST8-SCCmecIVa株はPVL遺伝子陽性(2.5%)で、うちACME陽性の6株は米国で優勢なUSA300クローンであると考えられた。ACME陰性の1株の全ゲノム配列を解析したところ、これはUSA300クローンからACMEが脱落した変異株であることが示唆された。さらに2023年4月から12月まで収集した血流感染由来MRSAの解析ではCC1が60%を占め、市中感染MRSAにおいてCC1の増加傾向が顕著に認められた。今年のアジアでの疫学調査はバングラデシュにおいて行った。共同研究機関のマイメンシン医科大学で2年間で分離された170株の黄色ブドウ球菌を解析したところ、MRSAは36%でありその8割がSCCmecIVを保有していた。PVL遺伝子陽性率の高さが特徴的であり、MSSA(62%)のほうがMRSA(26%)より高かった。MRSAの中にUSA300クローンが1株検出され、リネゾリド耐性を付与するcfr遺伝子がMSSA1株で検出された。またS. argenteusが2株同定(ST2250)され、これはバングラデシュで最初の報告となった。北海道におけるS. argenteusの収集、解析は2019年以降、2023年末まで継続しているが、ST1223、ST2198、ST2250の3遺伝子型のみ同定され、年次の経過とともにST2250の相対的な増加傾向が認められた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
New Microbes New Infect
巻: 58 ページ: 101230
10.1016/j.nmni.2024.101230
IJID Regions
巻: 10 ページ: 132-139
10.1016/j.ijregi.2023.12.006
巻: 8 ページ: 16-18
10.1016/j.ijregi.2023.05.006
Microb Drug Resist.
巻: 30 ページ: 63-72
10.1089/mdr.2023.0203