研究課題
特定健診は生活習慣病の一時予防を目的として、2008年に開始された本邦独特の健康政策である。一方で、その有効性の検証は制度の開始前から現在に至るまで なされておらず、特定健診のこのような状況への疑問が昨今国内外から呈されている。 本研究ではこのような状況を鑑み、大規模な実データ用いて糖尿病・高血圧の新規発症に関して、特定健診の有効性を評価することを目的とする。健診を受けた 人・受けなかった人を単純に比較するのみでは、例えば健康意識の違いなどが疾患(糖尿病・高血圧)の新規発生に影響することが予想されるため、適切な比較 となりにくい。今回の研究では、昨今注目されている、バイアスの少ない新規研究デザイン(Target trial emulation)を用いて健診の受検者・非受検者を比較 することで、健診の効果に関する精密な推定を行う。このTarget trial emulationではまず理想的な無作為比較試験(Target trial)とそのプロトコールを策定 し、そのプロトコールを模倣することで、観察研究においても無作為化比較試験と類似した結果が得られるという概念である。 データとしては累計100万人単位の複数の健康保険組合が所有する、健診データ(受検の有無、健診受検者においては健診結果)と、医療機関受診データ(病名、 処方履歴を含む)を紐付けることにより、健診と疾患発生との関連を推計する。 本研究は、生活習慣病の一次予防効果に対する、特定健診の役割についてのエビデンスを社会に提供する。
3: やや遅れている
Target trial emulationの策定には、理想的な無作為化比較試験試験(RCT)のプロトコール策定と、実際のデータに合わせた形でのプロトコールの改変の2つの作業がある。さらに細かに見ると、両プロトコールにおいてEligibility criteria、Treatment strategy、Assignment procedure、Follow-up period、Outcome、Causal contrast of interest、Analysisの各要素を決める必要がある。この中で解析部分において、研究者間で意見が割れて、その調整に時間を要した。一部には新型コロナ流行に伴う、コミュニケションの不足もあったものと思われる。
密にコミュニケーションを図ることで、改善を図る。また、この間に蓄積されたTarget trial emulationに関する新たな知見や総説記事などの動向も注意深く取集する。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 2件)
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