研究課題/領域番号 |
20H03942
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 佳代 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60444717)
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研究分担者 |
橋爪 真弘 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30448500)
SEPOSO XERXES 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 助教 (40836706)
ウン クリス・フック・シェン 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 准教授 (70620409)
須崎 純一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90327221)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 健康 / 植生 / Walkability / 時空間 |
研究実績の概要 |
前年度に整備した1970~2015年にわたる死亡と大気汚染データのデータセットを用いて、それぞれの大気汚染物質、すなわち浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)、光化学オキシダント(Ox)と死亡との関連について検討した。長期間にわたる大気汚染物質濃度の継続的な情報が必要であるため、解析は10都市に限定した。本課題では、大気汚染と死亡との関連が時代と共に変遷する可能性について検討するため、5年ごとの解析を行った。解析では単位濃度あたりの死亡リスクの変化率を求めた。 また、大気汚染と死亡のデータを用い、大気汚染物質と気象要因の相互影響についての解析も行った。主に微小粒子状物質(PM2.5)とOxに着目し、気温が非常に高い場合と低い場合に層別化解析について行った。 一方、救急搬送を用いた解析では、2012-2015年の人口50万人以上の都市を対象とした解析を用い、都市別に微小粒子状物質(PM2.5)およびOxと日々の急病による救急搬送数との関連について検討した。都市別の影響推定値を得た後、その影響推定値を用いてメタ解析を行い地域間の異質性について検討した。さらに、各都市の属性(人口、人口密度、年齢分布、都市別失業率などの社会経済要因、衛星リモートセンシング分析で得られたNDVI, LSTの値)と影響推定値を比較することにより、地域属性が大気汚染物質の影響推定値を修飾しているかどうかについての検討を行った。 都市の属性のうち、健康に関わるものとして、近年Walkabilityが注目されている。そこで、研究協力者の協力を得て、大都市圏のwalkability indexについても抽出し、影響修飾要因として整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
死亡と大気汚染の解析(長期間の影響推定値の変遷、気温と大気汚染の交互作用)については順調に解析が進み、成果の公表も行えた。救急搬送データについては、2016年以降のデータの更新のため、総務省に申請を行ったが、新型コロナウィルス感染症流行による業務増大のためか、データ取得までに時間がかかっている。 対応としては、現在までに取得している2015年までのデータを用いて、解析を進め、解析上の課題や統計モデルの精緻化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
救急救助統計のデータがそろい次第、地域属性による影響修飾の本格的な解析を行う。 死亡情報を用いた大気汚染と気温との相互影響に関する解析については、層別化するための気温のカットオフ値の探索を行うとともに、相互作用を引き起こすメカニズムについて、文献的検討を行う。 地域の影響修飾要因として、Walkability indexの算出を進める。Walkability indexの算出にはいくつかの方法があるため、健康との関わりに着目したindexを推定する。
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