研究課題
アンケート情報と生体試料を繰り返し収集している大規模前向きコホート研究という極めて独自性が高い研究基盤を最大限に活用し、ビタミンDとがん罹患との因果関係評価に資するエビデンスを構築することを目的とした解析を実施しており、今年度は下記のような成果を得た。アンケート情報から血中ビタミンD濃度を予測した値を用いた解析として、現時点でビタミンD濃度情報が利用可能なベースライン調査集団のケース・コホート研究のデータを活用し、多重代入法によるビタミンD濃度情報の補完を実施した。これにより解析対象集団を約3倍にすることが可能となり、これまでに十分な検出力が得られなかった部位においても、有意な関連が検出されることが期待される。しかし、実際には主にアンケート情報による多重代入法では、想定した結果は得られない可能性が示唆された。今年度は、部位別の解析として大腸がんをアウトカムとしたメンデルのランダム化解析を日本分子疫学コンソーシアムの協力を得て実施した(大腸がん症例約8000例、対照群約38000例)。また最新の先行研究の情報を参考に、操作変数を7SNPsから110SNPsに増やして解析を実施したが、遺伝的に予測される血中ビタミンD濃度と大腸がん罹患リスクとの間に統計学的に有意な関連を認めなかった(inverse-variance weighted [IVW]法によるオッズ比[95%信頼区間]は1.00[0.80-1.24]、MR-Egger法によるオッズ比[95%信頼区間]は1.01[0.75-1.37])。さらに全がんをアウトカムとした解析も操作変数を110SNPsに増やして実施したが、統計学的に有意な関連は認めなかった(IVW法によるオッズ比[95%信頼区間]は0.83[0.63-1.09]、MR-Egger法によるオッズ比[95%信頼区間]は0.83[0.57-1.19])。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.
巻: 13(1) ページ: 2384
10.1038/s41598-023-29596-8.