研究課題
思春期コホートのサブサンプルデータを用い、皮膚AGEs(終末糖化産物)と精神病症状との関連について分析を行った。その結果、思春期の持続的な幻聴体験と皮膚AGEとの間に有意な関連が見出された。これらの関連は、抗精神病薬の服薬の影響を調整してもなお有意であったことから、思春期のAGEs蓄積が精神病症状の出現に関与している可能性が示唆される。また、思春期コホートの尿検体を用いて代表的な終末糖化産物であるペントシジンを測定し、その関連要因を分析した。その結果、思春期の低筋力がペントシジンの蓄積と関連することが明らかとなった。また、思春期のペントシジンと幻聴体験との関連を低筋力が媒介している可能性も示唆された(Suzuki et al., Schizophrenia, 2022)。このことから、思春期の筋力・筋発達が終末糖化産物の蓄積を予防し、さらに精神病症状体験を予防する可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナや世界情勢により、一時、分析に必要な試薬の調達などに遅れが生じたが、年度後半にその遅れは挽回され、概ね順調に進展している。
思春期の終末糖化産物の蓄積を予防する心理・社会的要因を分析し、予防的介入点を明らかにする。特に、いじめやソーシャルサポートなど社会的ストレス要因や社会的レジリエンス要因の影響を重点的に検証する。また、脱落乳歯のAGE解析をさらに進め、胎児期と思春期の終末糖化産物の蓄積がメンタルヘルスに与える影響についても分析を行う。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Schizophrenia (Heidelb)
巻: 8(1) ページ: 44.
10.1038/s41537-022-00249-5.
http://ttcp.umin.jp/