研究課題/領域番号 |
20H03961
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
塩谷 英之 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00294231)
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研究分担者 |
石井 豊恵 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00452433)
古賀 由希子 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (50869378)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 2週間ホルター心電図 / 夜勤交代勤務者 / 心拍サーカディアンリズム |
研究実績の概要 |
通常勤務者と夜勤・交代勤務者の2週間の心拍サーカディアンリズムのパターンを比較するため、通常勤務者9名(男性2名、女性7名、平均年齢24.56±5.03歳)における2週間の心拍および活動量のサーカディアンリズムのデータを得た。全ての被験者にホルター記録器と腕時計型活動量計を装着し、2週間に渡って心電図とMETsの同時測定を行った。さらに、得られた心拍数、METsそれぞれのサーカディアンリズムを検討するため、周期回帰分析を行った。心拍数とMETsの2週間に渡る周期回帰曲線の振幅の有意性と周期回帰曲線との一致率を比較した。 その結果、心拍数は有意率94.9 %、重寄与率0.58(0.45-0.71)と、極めて高値を示した。一方、METsの有意率は66.0 %、重寄与率は0.33(0.20-0.45)と、心拍数に比べて有意に低値を示した。すなわち、心拍数による評価の方がリズムの有意性が保たれ、周期回帰曲線との一致率が高いことが明らかになった。位相時間については、心拍数では15.51±1.94 h、METsでは14.83±2.23 hであり有意差が認められたものの、位相時間と位相時間平均の差、つまり位相時間のバラツキにおいては、有意差はなかった。さらに心拍数とMETsの位相時間の相関は、相関係数r=0.810で、かなり強い相関が認められた。通常勤務者のデータを検討した結果、9名の2週間に渡る心拍数の周期回帰曲線評価において、ほとんどの日でサーカディアンリズムの存在が確認された。従って、長期的なサーカディアンリズムを評価する方法として、2週間ホルター心電図から算出される心拍数を周期回帰分析で評価する本法は、妥当な方法であり、夜勤・交代勤務者のサーカディアンリズム評価に適した手法であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度において通常勤務者の2週間のサーカディアンリズムについてのデータを収集し終えることができた。このデータから、2週間ホルター心電図から算出される心拍数を周期回帰分析で評価する本法は、妥当な方法であり、夜勤・交代勤務者のサーカディアンリズム評価に適した手法であることが確認され、夜勤交代勤務者の比較検討を行う基礎データが得られた。そして当初の予定通り、2020年1月から夜勤交代勤務者のデータ収集を開始することができ、現在3名のデータが得られているが、新型コロナウイルスの感染再拡大によりデータ収集の中断を余儀なくされている。今後も感染拡大状況を注視しながら十分な感染対策を講じた上でデータ収集を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
2020年1月より夜勤・交代勤務に従事する看護師へのデータ収集を開始し、現在3名のデータが得られている。本年度はさらに10名の夜勤・交代勤務者のデータを収集する予定であり、夜勤交代勤務者のデータが10例程度集まり次第、通常勤務者と夜勤交代勤務者の2週間の心拍および身体活動のデータからコサイン波形としての有意性、一致率、位相時間等を算出し、それらの2週間の平均値を算出し、比較検討する。通常勤務者と夜勤・交代勤務者の2週間の心拍および身体活動のサーカディアンリズムの詳細な比較検討を行うことによって夜勤交代勤務者の夜勤時だけのサーカディアンリズムの乱れだけでなく、夜勤交代勤務のサーカディアンリズムの乱れを経時的により長いスパンで詳細に把握することが可能になると考える。さらに、夜勤交代勤務者の中でサーカディアンリズムの乱れが大きい勤務者と小さい勤務者に分け、両群での健康感、睡眠の質、メンタルヘルス、クロノタイプの比較を行い、サーカディアンリズムの乱れと実際の健康指標との比較検討を行う予定である。なお、夜勤交代勤務者のデータ収集に際しては、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら十分な感染対策を講じた上でデータ収集を行っていく。
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