研究課題/領域番号 |
20H03964
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
越山 雅文 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (50724390)
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研究分担者 |
坂本 眞一 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (40449509)
渡邊 友美子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 講師 (50647162)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 下肢浮腫の定量測定 / 超音波診断装置 / 皮膚画像解析 |
研究実績の概要 |
基礎実験として、パルサーレシーバー、オシロスコープ、トランスデューサーを使用し、豆腐(浮腫の生じる皮下脂肪組織の超音波通過速度(1420ml/s)に近い)内の超音波通過速度v(m/s)を測定し、水分量を予測できるか検討した。豆腐の厚みをD(m)とするとv(m/s)=2D/t(s)が成り立つ。今回、様々な水分量W(g)の豆腐超音波通過速度を測定し、W(g)=1.3v(m/s)-38.6の式を得た。これは、水分量が増加すれば超音波速度が上昇することを意味した。W(g)=1.3x 2D(m)/t(s)-38.6と表せるので、下肢皮下組織の厚みと超音波通過時間が分かれば、下肢皮下組織の水分量が推定できると判明した。今後、実際のヒト下肢を使った同実験を進める必要がある。 携帯型超音波画像装置を使った実験では、36人の妊婦両足の下肢皮膚厚(皮下組織厚)を時期を違えてそれぞれ2回ずつ測定(全98本)した。浮腫群では有意に皮下組織が厚くなり(6.4±0.3mm vs. 4.6±0.4mm, p<0.0001)、その程度は肥満群で著明に上昇した。カットオフ値は4.7mmと求められたが、感度が83.9%、特異度66.7%、正確度77.6%に留まった。また、非肥満妊婦のカットオフ値は4.7mm、肥満妊婦のカットオフ値は7.5mmと異なり、肥満妊婦の下肢浮腫厚は非浮腫厚に比べ著名に増大する傾向となった。このように、浮腫の定量を行うには定性を指圧痕法で行い、定性は携帯型超音波診断装置にて下肢皮膚厚を測定することで 可能となるが、肥満と非肥満でのカットオフ値の違いの問題が存在する。 一回の測定で定性・定量が同時に行える診断装置の開発が必要と考え、超音波の通過速度や通貨波形を計測するか、あるいは下肢皮膚の画像解析からそれを達成することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ感染の影響で科研費の取得が遅れ、実験機器の購入が令和3年1月までずれ込んだ。 その間、鳥の皮を使用して様々な水分量を皮下に注入し、トランスデュ―サー、パルサーレシーバー、オシロスコープの連結装置にて超音波の皮膚通過速度を測定したが、測定可能な波形を得れなかった。さらに、鳥の皮に違った水分量を均一に注入する手技は困難であると判明した。携帯型超音波診断装置の購入も遅れ、令和3年1月となってしまった。2月にヒトにおける画像測定の倫理申請書が通り、4月から人下肢浮腫の画像測定を開始予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)様々な浮腫程度の下肢皮膚(脛骨前面)を、トランスデュ―サー、パルサーレシーバー、オシロスコープの連結装置にて超音波波形を描出していく。同時に実際の下肢浮腫を携帯型超音波画像診断装置にて記録し、皮膚厚を照らし合わせる作業を行う。数十人レヴベルでこの波形を記録していく。脛骨で反射するまでの波形を詳細に分析し、この装置での下肢皮下水分量の計測基準を作成する。 2)上記1)の実験が予定通り行かない場合も考え、携帯型超音波画像診断装置を使って数百人の下肢皮膚の厚み測定と画像を記録する。同時に浮腫有無と程度(指圧痕法;3段階評価)を記録して紐づけ、下肢皮下の画像から浮腫有無の定性と定量が同時にできる関数式を算出する予定である。
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